国語の間
国語の間
お子さんと、ことばと国語を家でいっしょに楽しみたい保護者の方へ。
寺子屋の学びの中心は「読み書き」でした。いろは歌で文字を覚え、かるたで百人一首を身につけ、故事成語で言葉の物語を知る。千年のことばは、いまもあなたの日本語の中に生きています。

いろは歌は四十七文字を使い切る歌
百人一首は全100首
故事成語は二千年前の物語から
百人一首の女性の歌は21首
まず、この一首から
千年歌い継がれたことばの入口
歌
百人一首 ── 全百首そろい踏み
藤原定家が小倉山で選んだ百の名歌を、一首残らず現代のことばで。かるたで遊びながら千年の言葉が身につく、日本一の入門古典です。
一番秋の田のかりほの庵の
二番春過ぎて夏来にけらし
三番足引きの山鳥の尾の
四番田子の浦に打出でてみれば
五番奥山に紅葉ふみ分け
六番かささぎの渡せる橋に
七番天の原ふりさけ見れば
八番わが庵は都のたつみ
九番花の色は移りにけりな
十番これや此の行くも帰るも
十一番わたの原八十島かけて
十二番天つ風雲のかよひぢ
十三番筑波嶺の峯より落つる
十四番陸奥のしのぶもぢずり
十五番君がため春の野に出でて
十六番立別れいなばの山の
十七番ちはやぶる神代も聞かず
十八番住の江の岸に寄る浪
十九番難波潟短き葦の
二十番侘びぬれば今はた同じ
二十一番今来むといひしばかりに
二十二番吹くからに秋の草木の
二十三番月見れば千々に物こそ
二十四番此の度は幣もとりあへず
二十五番名にしおはば逢坂山の
二十六番小倉山峯のもみぢ葉
二十七番みかの原わきて流るる
二十八番山里は冬ぞ寂しさ
二十九番心あてに折らばや折らむ
三十番有明のつれなく見えし
三十一番朝ぼらけ有明の月と見るまでに
三十二番山がはに風のかけたるしがらみは
三十三番久方の光のどけき春の日に
三十四番誰をかも知る人にせむ高砂の
三十五番人はいさ心もしらずふるさとは
三十六番夏の夜はまだ宵ながらあけぬるを
三十七番白露に風の吹きしく秋の野は
三十八番忘らるる身をば思はず誓ひてし
三十九番浅茅生の小野の篠原しのぶれど
四十番忍ぶれど色に出にけり我が戀は
四十一番戀すてふわが名はまだき立ちにけり
四十二番契りきなかたみに袖をしぼりつつ
四十三番逢ひみての後の心にくらぶれば
四十四番逢ふことの絶えてしなくばなかなかに
四十五番哀れともいふべき人はおもほえで
四十六番由良の戸をわたる舟人楫をたえ
四十七番八重葎しげれる宿のさびしきに
四十八番風をいたみ岩うつ浪のおのれのみ
四十九番御垣守衛士のたく火の夜はもえ
五十番君がため惜しからざりし命さへ
五十一番かくとだにえやはいぶきのさしも草
五十二番明けぬればくるるものとは知りながら
五十三番嘆きつつ獨りぬる夜の明くるまは
五十四番忘れじの行末までは難ければ
五十五番瀧の音はたえて久しくなりぬれど
五十六番あらざらむ此の世のほかの思ひ出に
五十七番めぐり逢ひて見しやそれとも
五十八番有馬山ゐなのささ原風吹けば
五十九番やすらはで寝なましものを小夜更けて
六十番大江山いくのの道の遠ければ
六十一番古への奈良の都の八重ざくら
六十二番夜をこめて鳥のそら音ははかるとも
六十三番今はただ思ひ絶えなむとばかりを
六十四番朝ぼらけ宇治の川霧絶えだえに
六十五番恨み侘びほさぬ袖だにあるものを
六十六番諸共にあはれと思へ山ざくら
六十七番春の夜の夢ばかりなる手枕に
六十八番心にもあらで憂世にながらへば
六十九番嵐ふく三室の山のもみぢ葉は
七十番寂しさに宿を立ち出でて眺むれば
七十一番夕されば門田の稲葉おとづれて
七十二番音に聞く高師の濱のあだ浪は
七十三番高砂の尾の上の桜咲きにけり
七十四番うかりける人を初瀬の山おろし
七十五番契りおきしさせもが露を命にて
七十六番わたの原漕ぎ出でて見れば久方の
七十七番瀬を早み岩にせかるる
七十八番淡路島かよふ千鳥の
七十九番秋風にたなびく雲の絶間より
八十番ながからむ心も知らず黒髪の
八十一番ほととぎす鳴きつる方を眺むれば
八十二番思ひわびさても命はあるものを
八十三番世の中よ道こそなけれ思ひ入る
八十四番ながらへばまた此の頃やしのばれむ
八十五番夜もすがらもの思ふ頃は明けやらで
八十六番嘆けとて月やはものを思はする
八十七番村雨の露もまだひぬ
八十八番難波江のあしのかりねの一夜ゆゑ
八十九番玉の緒よたえなば絶えねながらへば
九十番見せばやな雄島のあまの袖だにも
九十一番きりぎりすなくや霜夜のさむしろに
九十二番わが袖は汐干に見えぬ沖の石の
九十三番世の中は常にもがもな渚こぐ
九十四番みよし野の山の秋風小夜更けて
九十五番おほけなくうき世の民におほふかな
九十六番花さそふあらしの庭の雪ならで
九十七番来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに
九十八番風そよぐ楢の小川の夕ぐれは
九十九番人もをし人もうらめしあぢきなく
百番百敷や古き軒端のしのぶにも
故事
故事成語 ── 物語つきのことば
矛盾、蛇足、推敲——毎日使う日本語の中に、二千年前の物語が生きています。
一矛盾——最強の矛と最強の盾
二蛇足——余計なひと筆
三漁夫の利——争う二者、笑う第三者
四五十歩百歩——にげた距離のちがい
五温故知新——古きをたずねて
六推敲——押すか、敲くか
七四面楚歌——四方から聞こえる故郷の歌
八背水の陣——川を背にして戦う
九臥薪嘗胆——薪の上に寝て、胆をなめる
十塞翁が馬——幸と不幸は、入れ替わる
十一杞憂——空が落ちてこないか
十二虎の威を借る狐——後ろを歩く虎
十三朝三暮四——朝に三つ、暮れに四つ
十四完璧——璧を、傷つけずに持ち帰る
十五逆鱗に触れる——竜の、逆さの鱗
十六登竜門——のぼりきれば、竜になる
十七呉越同舟——仲の悪い二人が、同じ舟に
十八画竜点睛——最後に、瞳を入れる
十九蛍雪の功——蛍の光、窓の雪
二十井の中の蛙——海を知らない
二十一助長——苗を引っぱって、助けたつもりが
二十二傍若無人——人の目など、まるで無いかのように
二十三竜頭蛇尾——竜の頭で始まり、蛇の尾で終わる
二十四呉下の阿蒙——三日会わぬ間に、人は変わる
二十五他山の石——よその山の石も、玉を磨ける
二十六疑心暗鬼——斧を盗んだのは、あの子ではないか
二十七玉石混交——玉も石も、同じかごの中に
二十八白眉——眉に白い毛が混じる、あの人がいちばんだ
二十九断腸の思い——子を失った母ざるの、百里の叫び
三十邯鄲の夢——粟飯が炊けるまでの、一生
三十一塗炭の苦しみ——泥にまみれ、火に焼かれるように
三十二会稽の恥——会稽山で受けた、あの恥を
三十三刎頸の交わり——あなたのためなら、首を差し出そう
三十四破天荒——荒れ地を切り開いた、初めての一人
三十五覆水盆に返らず——こぼれた水は、もう盆には戻らない
三十六大器晩成——大きな器は、早くはできあがらない
三十七杜撰——杜黙の詩は、型に合わない
三十八五里霧中——五里にわたる霧の中で
三十九一挙両得——一つの矢で、二つの獲物を
四十水魚の交わり——魚に水を得たように
四十一髀肉の嘆——ふとももに、また肉がついた
四十二三顧の礼——三度、草庵を訪ねて
四十三隗より始めよ——まずは、この私から
四十四病膏肓に入る——薬の届かない、体の奥へ
四十五先んずれば人を制す——先に動いた者が、人を制する
四十六鶏口牛後——鶏の口となるも、牛の尻となるなかれ
四十七捲土重来——土けむりを巻き上げ、もう一度
四十八管鮑の交わり——損得をこえた、かたい友情
四十九羊頭狗肉——店先は羊の頭、売るのは犬の肉
五十鶏鳴狗盗——にわとりの鳴きまねが、関所を開いた
五十一百聞は一見に如かず——話を聞くより、この目で見よう
五十二過ぎたるは猶及ばざるが如し——やりすぎも、足りないのも同じ
五十三知音——この音をわかってくれる、ただ一人
五十四守株——もう一度うさぎが来るのを、切り株のそばで
五十五李下に冠を正さず——すももの木の下では、冠に手をふれない
五十六曲学阿世——学びをまげて、世におもねる
五十七泣いて馬謖を斬る——目をかけた人だからこそ、決まりを守る
五十八苛政は虎よりも猛し——きびしい政治は、虎よりおそろしい
五十九敗軍の将は兵を語らず——負けた将は、戦いを語らない
六十羹に懲りて膾を吹く——熱さにこりて、冷たい料理まで吹く
六十一虎穴に入らずんば虎子を得ず——危険をおかさねば、大きな成果は得られない
六十二燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや——小さな鳥に、大きな鳥の志はわからない
六十三前車の覆るは後車の戒め——前の車の失敗は、後への戒め
六十四青は藍より出でて藍より青し——教えを受けた弟子が、師をこえる
六十五鼎の軽重を問う——上に立つ人の、力を疑う
六十六宋襄の仁——川を渡ってくる敵を、じっと待ってあげた王
六十七衣食足りて礼節を知る——着るものと食べるものがあってこそ、心にゆとりが
六十八巧言令色鮮し仁——上手なことばと笑顔の奥を、見つめる
六十九有備無患——かさを一本持っていれば、雨の空もこわくない
七十雌伏——いまは静かに伏せて、大空へはばたく日を待つ
諺
ことわざ ── 昔から言いならわされたことば
暮らしの知恵を、短いことばに。いろはかるたの札になったものもあります。
一石の上にも三年——冷たい石も、すわりつづければ温まる
二猿も木から落ちる——木のぼりの名人でも、手がすべる日がある
三早起きは三文の徳——朝早く起きた人には、小さな得がある
四二兎を追う者は一兎をも得ず——二匹のうさぎを追えば、一匹もつかまらない
五灯台下暗し——明かりの台の、すぐ下だけが暗い
六火のない所に煙は立たぬ——けむりが上がるのは、どこかに火があるから
七犬も歩けば棒に当たる——江戸のいろはかるた、はじまりの「い」の札
八蓼食う虫も好き好き——からい草を、好んで食べる虫もいる
九塵も積もれば山となる——ちりも、積もれば山になる
十泣きっ面に蜂——泣いている顔を、さらに蜂が刺す
十一良薬は口に苦し——よく効く薬は、苦い
十二急がば回れ——舟は速い。けれど、橋を回れ
十三転ばぬ先の杖——転んでからではなく、転ぶ前に杖を
十四三人寄れば文殊の知恵——ひとりでは思いつかなくても、三人なら
十五光陰矢の如し——月日は、放たれた矢のように過ぎる
十六案ずるより産むが易し——心配していたより、やってみれば案外やさしい
十七河童の川流れ——泳ぎの名人・河童も、川に流される
十八弘法にも筆の誤り——書の名人・弘法大師でも、書きそこなうことがある
十九馬の耳に念仏——ありがたいお経も、馬には通じない
二十雨降って地固まる——雨のあと、地面はかえって固くなる
二十一一寸先は闇——ほんの少し先も、まっ暗で見えない
二十二七転び八起き——七回転んでも、八回起きあがる
二十三花より団子——桜より、おだんご
二十四善は急げ——よいことは、思い立ったらすぐに
二十五蛙の子は蛙——おたまじゃくしも、やがては蛙
二十六急いては事を仕損じる——あわててボタンをかけると、一つずつずれていく
二十七聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥——手をあげて聞く、ほんの少しの勇気が一生を助ける
二十八能ある鷹は爪を隠す——えものをとる鋭い爪は、ふだんはそっとしまっておく
二十九身から出た錆——刀の錆は、刀の中から出てきたものだった
三十残り物には福がある——最後に残ったくじに、いちばんの当たりがかくれていた
三十一笑う門には福来る——笑い声のもれる家の門を、幸せがくぐってやって来る
三十二情けは人のためならず——人にかけたやさしさは、ぐるりと回って自分にもどる
三十三千里の道も一歩から——はるか遠くの町へも、まずは目の前の一歩をふみ出す
三十四論より証拠——言い合うより、目の前に出して見せれば話は早い
三十五郷に入っては郷に従え——はじめての土地では、まずその土地のならわしにならう
三十六口は災いの元——ぽろりとこぼれた一言が、大きな波を立てることがある
三十七果報は寝て待て——あせらずに、ゆっくりとよい知らせを待つ
三十八棚からぼたもち——見上げた棚から、ぼたもちがころりと落ちてきた
三十九船頭多くして船山に上る——かじを取る人が多すぎて、船が山へ登っていく
四十猫に小判——ぴかぴかの小判も、猫にはただの丸い板
四十一暖簾に腕押し——力いっぱいのれんを押しても、ふわりとゆれるだけ
四十二焼け石に水——熱く焼けた石に水をかけても、じゅっと消えるだけ
四十三住めば都——はじめはなじめなかった町が、いつのまにか大好きに
四十四知らぬが仏——知らないでいるうちは、仏さまのようにおだやかな顔
四十五待てば海路の日和あり——嵐の港で待っていれば、やがておだやかな海の日が来る
四十六鬼に金棒——ただでさえ強い鬼が、鉄の棒を手にしたら
四十七出る杭は打たれる——並んだくいの中で、一本だけ高いものがたたかれる
四十八好きこそ物の上手なれ——好きなことなら、時間をわすれて、いつのまにか上手に
四十九うそも方便——相手を思う小さな作り話が、場をまるくおさめることも
五十三つ子の魂百まで——小さいころの自分が、大人になっても心の中にいる
五十一立つ鳥跡を濁さず——水鳥が飛び立ったあとの水面は、にごらずにすんでいる
五十二失敗は成功のもと——うまくいかなかった日が、うまくいく日のたねになる
五十三石橋を叩いて渡る——がんじょうな石の橋でも、ひとつひとつたしかめて進む
五十四負けるが勝ち——いまは相手にゆずって、さいごに笑う
五十五案ずるより産むが易し——心配でいっぱいだった胸が、やってみると、すっと軽くなる
五十六継続は力なり——ほんの少しずつ、毎日つづけたその先に
五十七一寸の虫にも五分の魂——小さな虫にも、小さな虫なりの、負けられない気持ちがある
五十八縁の下の力持ち——目立たない床下で、家をそっと支えている
五十九二度あることは三度ある——同じことが続いたら、また起こるかもしれない
六十時は金なり——一分一秒も、むだにせずに、大切に使う
六十一渡る世間に鬼はない——こまったとき、思いがけず、手をさしのべてくれる人がいる
六十二馬子にも衣装——いつもとちがう服を着たら、まるで別人のよう
六十三長い物には巻かれろ——強いものには、さからわずに、とりあえず従っておく
六十四悪事千里を走る——かくしたはずの悪いことが、あっという間に広がる
六十五木を見て森を見ず——一本の木ばかり見ていて、森の広さに気づかない
四字
四字熟語 ── 漢字四字のことば
漢字四字にこめた物語。中国の古典や茶の湯から生まれたことばも。
一一石二鳥——石ひとつで、鳥が二羽
二自画自賛——自分で描いた絵に、自分でほめことばを書く
三十人十色——十人いれば、十とおりの色
四一期一会——この出会いは、一生に一度かもしれない
五電光石火——いなずまの光、石を打つ火花
六起承転結——起こして、承けて、転じて、結ぶ
七大同小異——大きく見れば同じ、小さく見れば異なる
八千載一遇——千年に一度、めぐり会えるかどうか
九自業自得——自分のしたことは、自分に返ってくる
十我田引水——自分の田んぼにだけ、水を引く
十一単刀直入——刀一本で、まっすぐ切りこむ
十二半信半疑——半分は信じて、半分は疑う
十三一日千秋——一日会えないだけで、何年もたったよう
十四一心不乱——心をひとつに、みだれずに
十五有言実行——言ったことは、やりとげる
十六臨機応変——その場に応じて、やり方を変える
十七弱肉強食——弱いものは肉となり、強いものがそれを食う
十八針小棒大——針ほどの小さなことを、棒ほどに大きく
十九一朝一夕——ひと朝、ひと晩では、できあがらない
二十一喜一憂——よいことに喜び、悪いことに心配する
二十一四苦八苦——四つの苦、八つの苦
二十二意気投合——気持ちが、ぴたりと合う
二十三適材適所——その人に合った、その場所へ
二十四朝令暮改——朝に出した命令を、夕方にはもう改める
二十五花鳥風月——花、鳥、風、月
二十六以心伝心——ことばにしなくても、目を合わせただけで伝わる
二十七一刀両断——刀をひとふりして、まっぷたつ。迷いもすっぱりと
二十八言語道断——あまりのことに、ことばの道がとだえてしまう
二十九異口同音——ちがう口から、ぴたりと同じことばが飛び出す
三十絶体絶命——前も後ろも道がない。さあ、ここからどうする
三十一七転八倒——あまりの苦しさに、ころげ回って、またころげ回る
三十二心機一転——新しいノートの一ページ目に、気持ちも新たに
三十三一部始終——はじめから終わりまで、一つも残さず見とどけた
三十四前代未聞——むかしの人も聞いたことがない、はじめての出来事
三十五危機一髪——かみの毛一本の差で、あぶないところをすりぬけた
三十六右往左往——右へ行ったり、左へ行ったり、足がなかなか決まらない
三十七付和雷同——雷が鳴ると、あちこちの物がいっせいにひびく
三十八優柔不断——あれもいいし、これもいい。気づけば時間だけがすぎていく
三十九用意周到——かさも地図もばんそうこうも、かばんの中にちゃんとある
四十無我夢中——気がつけば夕方。夢中になって時間をわすれていた
四十一本末転倒——根っこと枝先が、いつのまにか入れかわっている
四十二公明正大——かくしごとなく、だれに見られても胸をはれる
四十三日進月歩——昨日より今日、先月より今月、少しずつ前へ
四十四馬耳東風——春の風が耳をなでても、馬はしっぽもふらない
四十五八方美人——どちらを向いても、にっこり。でも本当の気持ちはどこに
四十六油断大敵——あと少しでゴール。そのときこそ、気をゆるめずに
四十七奇想天外——空の向こうから落ちてきたような、びっくりする思いつき
四十八一網打尽——一度投げた網で、池の魚をすっかりすくい上げる
四十九東奔西走——東へ走り、西へかけ、一日じゅう大いそがし
五十温厚篤実——いつもおだやかで、約束をきちんと守る人のそばは安心
五十一起死回生——もうだめだと思われたものが、息をふきかえす
五十二試行錯誤——うまくいくやり方が見つかるまで、何度でもためす
五十三周章狼狽——思いがけないことが起きて、右往左往してしまう
五十四初志貫徹——はじめに決めた道を、さいごまで歩きとおす
五十五八方塞がり——どちらを向いても、道がふさがれている
五十六先手必勝——相手より先に動いて、流れをつかむ
五十七質実剛健——かざらないけれど、強くて、しっかりしている
五十八有名無実——名前だけは立派でも、中身は空っぽ
五十九理路整然——話の筋道が、きちんと一本につながっている
六十悪戦苦闘——苦しい戦いの中で、それでも手をゆるめない
六十一自給自足——食べるものも、使うものも、自分の手でまかなう
六十二言行一致——言ったことと、やることが、ぴたりと重なる
六十三難攻不落——どんなに攻めても、びくともしない
六十四満場一致——会場の全員の手が、いっせいにあがる
六十五取捨選択——たくさんの中から、必要なものだけを手に取る
六十六順風満帆——追い風を帆にいっぱい受けて、船が気持ちよく進む
六十七縦横無尽——どちらを向いても、思うぞんぶん動き回る
六十八日常茶飯事——毎日、あたりまえのように起こる、ありふれたこと
六十九一心不乱——ほかのことは目に入らない。ただ一つのことに向かう
七十勇猛果敢——こわがらず、思いきって、前へ出る
七十一品行方正——いつ見ても、行いがきちんとしている
七十二公平無私——好ききらいをはさまず、ものさしを真っすぐにあてる
七十三全力投球——ありったけの力を、ひと球にこめる
七十四天真爛漫——かざらず、ありのまま、にこにこと笑っている
七十五真剣勝負——ごまかしのきかない、本気のたたかい
七十六老若男女——おじいさんから赤ちゃんまで、みんなが集まる
七十七喜怒哀楽——笑ったり、おこったり、泣いたり、楽しんだり
七十八無病息災——病気をせず、一年を元気にすごせますように
七十九平穏無事——なにごともなく、おだやかに一日がすぎていく
八十完全無欠——どこにも、すきまがなく、非のうちどころがない
八十一意気投合——はじめて会ったのに、ずっと話していたくなる
八十二森羅万象——空も、海も、花も、虫も、みんな合わせて
八十三自由自在——思いのままに、すいすい動かせる
八十四切磋琢磨——おたがいを磨きあって、少しずつ光っていく
八十五責任転嫁——自分のミスを、そっと人に押しつけてしまう
八十六大胆不敵——こわいものなし。堂々と、前に出る
八十七不言実行——なにも言わずに、黙って、やりとげる
八十八清廉潔白——後ろ暗いところが、ひとつもない
八十九千差万別——ひとつとして、同じものがない
九十前後不覚——いま、どこにいるのか、わからなくなるほど
九十一唯我独尊——世界で自分ひとりだけが、えらいと思いこむ
九十二抱腹絶倒——おなかをかかえて、たおれそうなほど笑う
九十三古今東西——いつの時代も、どこの国でも
九十四一念発起——ふと、心に火がついて、新しい道へふみ出す
九十五異体同心——体はべつべつでも、心はひとつ
九十六三日坊主——はじめは、はりきっていたのに、すぐにやめてしまう
九十七一目瞭然——ひと目見ただけで、すっきり、わかる
慣用
慣用句 ── 決まった言い回し
体や身近なものを使った、決まった言い回し。
一目から鱗が落ちる——目をおおっていたものが、はらりと落ちる
二猫の手も借りたい——役に立たない猫の手でも、借りたいほど
三頭が上がらない——あの人の前では、顔を上げられない
四口が滑る——言うつもりのなかったことが、つるりと出てしまう
五足を洗う——よごれた足を洗って、その道をやめる
六鼻が高い——うれしくて、つい胸をはる
七顔が広い——あちこちに、知り合いがいる
八気が置けない——気をつかわなくていい、気楽な相手
九手を焼く——どうにもうまく、あつかえない
十腹をくくる——迷いを捨てて、覚悟を決める
十一耳が痛い——本当のことだからこそ、聞くのがつらい
十二目を丸くする——びっくりして、目がまんまるに
十三舌を巻く——あまりのみごとさに、ことばも出ない
十四骨が折れる——骨が折れるほど、たいへんな仕事
十五肩の荷が下りる——重い荷物を下ろして、ほっと一息
十六胸をなでおろす——どきどきしていた胸を、そっとなでる
十七水に流す——いやなことは、川の水に流してしまおう
十八油を売る——用の途中で、おしゃべりに時間をつぶす
十九さじを投げる——薬をまぜるさじを、投げ出す
二十馬が合う——乗り手と馬の、息がぴたりと合う
二十一板につく——舞台の板に、しっくりなじむ
二十二釘を刺す——あとでぐらつかないよう、釘でしっかり留める
二十三顔から火が出る——はずかしくて、顔がかっと熱くなる
二十四息を呑む——はっとして、息が止まる
二十五腕によりをかける——腕前を、いつも以上にふるう
二十六猫をかぶる——いつもはにぎやかなのに、よその家ではおとなしい
二十七お茶を濁す——よくわからないまま、それらしく茶碗をかきまぜる
二十八手に汗を握る——最後の一球。気づけば、手のひらがじっとりしていた
二十九口を酸っぱくする——何度も何度も、同じことを言ってきかせる
三十羽を伸ばす——かごから出た鳥が、大きく羽を広げるように
三十一目が高い——たくさんの中から、いちばんよいものを見つけ出す目
三十二耳を貸す——友だちの話に、そっと耳を向けて、最後まで聞く
三十三首を長くする——まだかな、まだかなと、窓の外をのぞきこむ
三十四歯が立たない——かたいおせんべいに、かみついても、かみついても
三十五腰が低い——だれに対しても、ていねいにおじぎをする人
三十六鼻にかける——自分のじまんを、鼻の先にぶら下げて見せて回る
三十七口が堅い——打ち明けた秘密は、あの子の口の中に大切にしまわれる
三十八図に乗る——うまくいって、ついつい調子が上がりすぎる
三十九棚に上げる——自分のことは高い棚にしまって、見えないふりをする
四十手塩にかける——自分の手で、一つひとつ世話をして育ててきた
四十一さばを読む——数えているうちに、数がこっそりふえたりへったり
四十二しのぎを削る——刀と刀がぶつかり合い、火花が散るほどのせり合い
四十三太鼓判を押す——大きなはんこを、どんとおして「これなら大丈夫」
四十四白羽の矢が立つ——たくさんの人の中から、すっと一本の矢がとどく
四十五らちが明かない——さくが閉じたままで、なかなか先へ進めない
四十六二の足を踏む——一歩目はふみ出したのに、二歩目の足がその場で止まる
四十七眉をひそめる——まゆとまゆの間に、きゅっと小さなしわが寄る
四十八身を粉にする——体がこなごなになるほど、一生けんめいに働く
四十九足が棒になる——一日じゅう歩きつづけて、足がこちこちにかたまった
五十虫がいい——自分に都合のよいことばかり、心の虫がささやいている
五十一腹を割る——おなかの中の本当の気持ちを、ぜんぶ見せる
五十二肩を持つ——二人のけんかの場で、そっと片方の味方につく
五十三胸を張る——背すじをのばして、まっすぐ前を向く
五十四骨を折る——いやがらずに、人のために力をつくす
五十五頭が下がる——りっぱな行いを見て、思わずおじぎをしたくなる
五十六首を突っ込む——のぞきこんでいるうちに、いつのまにか中に入っている
五十七揚げ足を取る——相手の言いまちがいを、すかさず取り上げる
五十八足を引っ張る——前に進もうとする人の足を、うしろからそっとつかむ
五十九顔を立てる——相手の気持ちがきずつかないように、そっと気をくばる
六十鼻を明かす——いつも強かった相手を、あっと言わせる
六十一手を抜く——やるべきことを、少しだけ、飛ばしてしまう
六十二耳を疑う——いま聞いたことが、本当かどうか、もう一度たしかめたくなる
六十三腕が鳴る——強い相手を前にして、じっとしていられない
六十四目に余る——見ていられないほど、行きすぎている
六十五気が利く——言われる前に、必要なことに気づいて動く
六十六手を貸す——こまっている人に、そっと、手をさしのべる
六十七気が引ける——なんだか、申しわけなくて、遠慮してしまう
六十八気が進まない——やらなければいけないのに、足が重い
六十九気を配る——まわりのようすに、そっと目を向けておく
七十息が合う——言葉にしなくても、動きがぴったりそろう
七十一舌が肥える——おいしいものを知るうちに、味の違いがわかってくる
七十二口がうまい——話すのがじょうずで、すっかり信じてしまいそう
七十三腰を据える——どっしりと構えて、ぐらつかずに取り組む
七十四手に余る——自分の力では、もう持ちきれない
七十五目を細める——うれしさが、顔いっぱいにあふれる
七十六耳を澄ます——音を一つも聞きのがさないように、息をひそめる
七十七口を挟む——人が話している途中に、横から入りこむ
七十八胸が躍る——楽しみで、じっとしていられない
七十九気が散る——ひとつのことに、集中できなくなる
八十骨身を惜しまず——くたくたになるまで、いやがらずに、やりきる
八十一腹を決める——迷いをふりきって、まっすぐに前を向く
八十二足を運ぶ——わざわざ、その場所まで出かけていく
八十三目を通す——ざっと、はじめから終わりまで、見わたす
八十四根も葉もない——木の根も、葉もない。つまり、どこにも、もとがない
八十五耳を傾ける——そっと耳を向けて、じっと聞く
八十六目が回る——くるくるして、足もとがふらつくほど、いそがしい
八十七口が重い——言いたいことがあっても、なかなか、ことばが出てこない
かな
いろは歌と、ことばの行事
四十七文字を使い切る奇跡の歌と、一年最初の一文字。
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