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十五

百人一首・十五番 光孝天皇

君がため 春の野に出でて 若菜つむ
わが衣手に 雪は降りつつきみがため はるののにいでて わかなつむ
わがころもでに ゆきはふりつつ

いまのことば

君がため春の野に出でて若菜つむの意味は?

あなたのために、春の野に出て若菜を摘んでいます。
私の袖に、雪がちらちらと降りかかるなかで。

ことばの景色

若菜は、早春の野草。七草がゆの「七草」の仲間で、食べると健康に良いとされました。つまりこの歌は、大切な人の健康を願って、寒い野で野草を摘んでいる場面です。

贈りものの豪華さではなく、雪の中で摘んだという「手間」が心を伝える。プレゼントの値段より、かけた時間——千年前の贈りものの心が、ここにあります。

まだ皇子だったころの光孝天皇こうこうてんのうの歌と伝わります。身分の高い人が自ら野に出て摘む、そのこと自体が最上の真心でした。

考えてみよう

答えはひとつではありません。声に出して読んでから考えると、また違って見えてきます。

豆知識——一番(秋の田の)が農民の身になった天皇の歌、この十五番は自ら野良仕事をする皇子の歌。百人一首は、偉い人が偉ぶらない歌をよいものとして選んでいます。
原文について
この記事が扱っている『小倉百人一首』は、鎌倉時代に藤原定家が選んだとされる和歌集。江戸時代に版本・かるたとして広まりました。
原本(江戸期などの版本)は、国立公文書館 デジタルアーカイブ『百人一首抄』で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。 表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。
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