二
百 人 一 首 ・ 二 番 持 統 天 皇
春過ぎて 夏来にけらし 白妙の
衣ほすてふ 天の香具山はるすぎて なつきにけらし しろたへの
ころもほすてふ あまのかぐやま
いまのことば
春が過ぎて、夏が来たらしい。
真っ白な衣を干すという、あの天の香具山に。
ことばの景色
山すそに白い衣が干されている。それを見て「ああ、夏が来たんだな」と気づく——季節の変わり目を、白い色ひとつで受け取った歌です。
カレンダーも天気予報もない時代、人は景色の小さな変化で季節を知りました。洗濯物の白、山の緑、風の匂い。この歌は千三百年前の「衣替えのニュース」です。
一番(天智天皇)の子が、この二番の持統天皇。親子の歌が並んで百人一首は始まります。
考えてみよう
- 問一あなたが「季節が変わった」と気づくのは、どんな景色や匂いですか。
- 問二白い衣と緑の山。色の対比がこの歌に何を与えているでしょう。
- 問三スマホなしで季節の変化に気づく練習を、一週間やってみませんか。
答えはひとつではありません。声に出して読んでから考えると、また違って見えてきます。
豆知識——天の香具山は奈良県橿原市に実在する山です(標高約152メートル)。「大和三山」のひとつで、いまも麓から歌の景色を想像できます。歌に詠まれた場所を「歌枕」といいます。