三十五
東 海 道 ・ 興 津 宿
古くから清見潟と呼ばれ、歌に詠まれ続けた海辺です。
いまのことば
興津は東海道の十七番目の宿場。
広重の題は「興津川」。
歌枕の海辺
このあたりの海辺は、古くから「清見潟」と呼ばれた歌枕でした。関所の「清見ヶ関」、寺の「清見寺」も同じ名から。地名・関所名・寺号が一つのことばでつながっている。
広重の題は興津川の川越しの場面です。大井川ほどではないものの、ここも徒歩で渡る川でした。東海道には橋のない川がいくつもあり、そのたびに旅は止まる。六郷、興津川、安倍川、大井川——川の数だけ、旅の計画が狂う可能性があったのです。
前の由比は薩埵峠の難所。興津はその峠を下りたところにあります。峠の前後に宿場を置く——小田原と三島、日坂と掛川も同じ形) です。
考えてみよう
- 問一同じことばから生まれた地名を、身のまわりから探してみましょう。
- 問二橋のない川を渡る方法を、四つ挙げてみましょう。
- 問三峠の前後に宿場が置かれる理由を説明してみましょう。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——
歌枕は東海道ぞいにいくつもあります——
蒲原のあたりの
田子の
浦、
清見潟、
鞠子の
先の
宇津の
山。
旅人は歌を思い出しながら歩いていました。