三十四
東 海 道 ・ 原 宿
富士山にいちばん近づくあたり。広重は、画面からはみ出すほど大きく描きました。
いまのことば
原は東海道の十三番目の宿場。
広重の題は「朝之富士」。
枠からはみ出す富士
原の絵では、富士山の頂上が枠の上に突き抜けています。絵の約束事をわざと破ることで、大きさを伝えた——広重の工夫です。実際、原のあたりは東海道で富士に最も近づく区間の一つです。
宿場になる前、このあたりは「浮島ヶ原」と呼ばれた湿地でした。水の多い土地を通すのは、街道づくりの難しさの一つ。日坂の峠、島田の大河、そしてここの湿地。難所は山だけではありません。
吉原・蒲原・由比と、このあたりは富士を見る宿場が続きます。見る角度も、時刻も、季節も違う。同じ山を何枚も描き分けるのが、五十三次の面白さです。
考えてみよう
- 問一大きさを伝える絵の工夫を、三つ考えてみましょう。
- 問二湿地に道を通すには、どんな工事が必要でしょう。
- 問三五十三次から富士が描かれた絵を集めて、見える向きを比べてみましょう。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——
浮島ヶ原は歌にも詠まれた土地で、「うき」の音が憂きに通うことから恋の歌にも使われました。
地名が歌のことばになる——
国語の間の
歌枕と
同じ
仕組みです。