CCN 寺子屋
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十五

東 海 道 ・ 鞠 子 宿

東海道でいちばん小さな部類の宿場が、いちばん有名な名物を持っていました。すりおろした自然薯の、とろろ汁です。

いまのことば

鞠子まりこは東海道で最小級の宿場。
名物とろろ汁は、芭蕉の句にも広重の絵にも描かれた。

小さな宿の大きな名物

鞠子(まりこ・丸子とも書く、いまの静岡市駿河するが区)は、旅かごの数が二十数軒という小さな宿場。けれど、山の芋をすって麦飯にかけるとろろ汁の評判は、東海道じゅうに知れわたっていました。

松尾芭蕉まつおばしょう「梅若菜 丸子の宿の とろろ汁」と詠み、広重は五十三次の絵にとろろ汁屋の店先を描き、弥次さん喜多さんの『膝栗毛』では夫婦げんかでとろろが食べられない滑稽な場面に。俳句・浮世絵・小説の三冠を取った名物です。

大きさではなく、名物の力で歴史に残る——町の勝負のしかたは、規模だけではありません。

考えてみよう

答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。

豆知識——鞠子まりこのとろろ汁屋「丁子屋」は慶長元年(1596年)創業と伝わり、いまも茅葺きの店で営業しています。広重の絵とほぼ同じ姿の店で、江戸の献立が食べられる——五十三次で最も「あの頃のまま」に近い場所かもしれません。
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