七
東 海 道 ・ 由 比 宿
崖が海に迫る難所・薩埵峠。命がけで越えるその道から振り返ると、駿河湾ごしの富士山——東海道でいちばんの絶景が待っていました。
いまのことば
由比の薩埵峠は、海に崖が迫る難所。
そこからの富士は、広重も描いた東海道随一の絶景だった。
難所と絶景
由比宿と興津宿の間にある薩埵峠(さったとうげ)は、崖下の波打ちぎわを通るか、峠道を越えるかしかない難所でした。広重はここから、駿河湾の波と、その向こうの富士を描いています。
面白いのは、いまこの場所に東名高速・国道1号・JR東海道本線が一点に集まっていること。崖と海の間のわずかな平地を、江戸の旅人も、現代の大動脈も、同じように通るしかないのです。地形は交通を支配し続けています。
峠の展望台からは、いまも広重とほぼ同じ構図の富士が見えます。浮世絵と同じ景色に立てる、数少ない場所のひとつです。
考えてみよう
- 問一地図で薩埵峠を見て、鉄道と高速道路がどう通っているか確かめましょう。
- 問二「地形が道を決める」例を、あなたの町でも探せますか。
- 問三危ない道の先に絶景がある——箱根の章とも共通します。偶然でしょうか。
答えはひとつではありません。地図を広げながら考えると、また違って見えてきます。
豆知識——由比は桜えびの日本一の産地としても有名です。春と秋の漁期には、駿河湾の桜えびが食卓に上ります。宿場町の本陣跡は公園と美術館になっています。