十一
ことわざ・十一 良薬は口に苦し
よく効く薬は、苦い。
『史記』より
いまのことば
良薬は口に苦しの意味と由来は?
自分のためになる忠告ほど、聞くのがつらいものだということ。
ことばの景色
いまから二千年以上前の中国。のちに漢の国をひらく劉邦は、秦の都に攻め入ると、きらびやかな宮殿の宝や美女に心をうばわれ、そこにとどまろうとしました。
家来の樊噲がいさめても、劉邦は聞きません。そこで軍師の張良が言いました。「忠言は耳に逆らえども行いに利あり、毒薬は口に苦けれども病に利あり」。耳にいたい忠告こそ行いのためになり、苦い薬こそ病気に効く、というのです(ここでの「毒薬」は、よく効く強い薬のことです)。劉邦は聞き入れて、軍を引きあげました。
『史記』留侯世家にある話です。たとえば、「先生の注意はきびしかったけれど、良薬は口に苦し。言われたとおり直したら、作文がぐんとよくなった」のように使います。江戸のいろはかるたでも、「れうやく(りょうやく)口に苦し」が「れ」の札になっていました。
考えてみよう
- 問一言われたときはいやだったのに、あとでありがたかった忠告はありますか。
- 問二きびしいことを言ってくれる人は、あなたのまわりにいますか。
- 問三あなたが友だちに忠告するとき、どんな言い方をしますか。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
原文について
この記事が扱っている
『ことわざ』は、中国の古典に由来する言い回し。この回のもとの話は『史記』(留侯世家)に記されています。
もとの話を載せる『史記』の版本は、
国立公文書館 デジタルアーカイブ『史記評林』で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。