二十一
故事成語・二十一 助長
苗を引っぱって、助けたつもりが。
『孟子』より
いまのことば
助長の意味と由来は?
力ぞえのしすぎが、かえって害になること。いまは、好ましくないことを、いっそう強めてしまう、という意味でも使われる。
ことばの景色
宋の国に、苗の生長が遅いことを心配した人がいました。心配のあまり、苗を一本ずつ、少しだけ引っぱって、丈を伸ばしてやりました。
くたくたになって家に帰ると、家族にこう言いました。「今日は疲れた。苗が早く育つよう、助けてやったぞ」。驚いた息子が畑へ走っていくと、苗はみな、しおれて枯れていました。
『孟子』公孫丑上にある話です。このことから「助長」は、もとは力ずくで無理に伸ばそうとして、かえって害になることを指しました。いまでは「不安を助長する」のように、好ましくないことを、なおいっそう強めてしまうという意味で使われます。
考えてみよう
- 問一早く育てたい気持ちが、うまくいかなかったことが、あなたにもありますか。
- 問二「待つ」ことと「手を貸す」こと、どちらが難しいと感じますか。
- 問三「助長する」ということばを、実際に見聞きしたことがありますか。どんな場面でしたか。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——
植物の
生長を
待つ
知恵は、
江戸の
人々も
大切にしていました。
生物の間では、
庶民まで
花を
育てた
江戸の
園芸文化を
扱っています。
原文について
この記事が扱っている
『故事成語』は、中国の古典に由来する言い回し。この回のもとの話は『孟子』(公孫丑上)に記されています。
もとの話を載せる『孟子』の版本は、
国立公文書館 デジタルアーカイブ『孟子』(内閣文庫蔵・慶長刊本)で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。