二十
故 事 成 語 ・ 二 十
井戸の蛙に、海の話をしても通じない。
『荘子』より
いまのことば
狭い世界にいて、外の広さを知らないこと。
ことばの景色
『荘子』の秋水篇にこうあります。井戸の中の蛙に海のことを語れないのは、狭い場所にとらわれているからだ——と。続けて、夏の虫に氷の話ができないのは季節にとらわれているから、とも述べられています。
『荘子』が言いたかったのは、蛙を笑うことではありません。「では、あなたはどうか」と読む側に返してくるのが、この書物の書き方です。同じ『荘子』から生まれた朝三暮四も、同じ形をしています。
日本では、「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」という続きが添えられることがあります。これは日本で後に付け加えられたもので、『荘子』の本文にはありません。ことばは、渡った先で育ちます。
考えてみよう
- 問一自分の「井戸」は、どのくらいの広さでしょう。
- 問二外の広さを知るために、明日できることを一つ書いてみましょう。
- 問三付け加えられた続きのことばを、あなたはどう思いますか。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——
井戸の蛙にも、見えている空があります。
科学の間には、その
空を
近くに
引き
寄せた
望遠鏡の
話があります。