- 何から削り、何を最後まで残すかの順番
- 原稿用紙では、削った文字数より多く減る理由
- 1,140字を800字に収めた実例(全文と検算つき)
- 学年によって「整える」の中身が違うこと
- 削ってはいけないもの
字数を超えたということは、書くことが見つかったということです
原稿用紙が足りなくなるのは、心に残ったことが多かったからです。
ここから先は、減らす作業ではなく、いちばん言いたいことを前に出す作業になります。
やみくもに短くすると、どこにでもある感想文になります。
順番を決めて削ってください。
削る順番
上から順に手をつけます。下にいくほど、その子にしか書けない部分です。
| 順 | どこを削るか |
|---|---|
| 1 | あらすじ——いちばん先に削ります。物語の説明は、感想を書くために必要な最小限まで縮めます |
| 2 | 同じことを2回言っている段落——1つにまとめます |
| 3 | 感想の言いかえ——「〜と思いました」が続いていたら、強いほうを1つ残します |
| 4 | 自分の経験とこれからどうするか——ここは最後まで残します。削ると、誰が書いても同じ文章になります |
あらすじを先に削る理由は、あらすじだけにならない方法と同じです。
読む人が知りたいのは物語の内容ではなく、その子が何を思ったかだからです。
原稿用紙では、削った文字数より多く減ります
青少年読書感想文全国コンクールの応募要項には、数え方がこう書かれています。
- 「句読点はそれぞれ1字に数えます」
- 「改行のための空白か所は字数として数えます」
- 「題名、学校名、氏名は字数に数えません」
段落を1つ減らすと、字下げの1字と、その段落の行末に残っていた空白も一緒に減ります。
行末の空白は0字のこともあれば19字のこともあるので、いくつ減るかは書いてみるまで分かりません。
つまり文字を削った数より、原稿用紙の字数はいつも多く減ります。あと少しというときは、ここが効きます。
数え方そのものは原稿用紙の使い方にまとめてあります。
実例:1,140字を800字に収める
全文例に載せている小学校中学年(4年生)の1本を使います。原稿用紙で1,140字、段落は10本ありました。
学校の指示が「原稿用紙2枚」=800字だった場合に合わせて削ります。
何をしたか
- あらすじの2段落を1つにまとめた——うなぎの経緯を1文に縮めました
- 「引き合わないなあ」の段落を落とした——おもしろい発見でしたが、言いたいことは他の段落にも書けていました
- 結びの手前の2段落を1つにした
- 自分の経験の3段落は1字も触っていません
削ったあとの全文(原稿用紙760字)
「ごん狐」を読み終わったとき、わたしはすぐに本を閉じることができませんでした。最後の一行のあとに、まだ何か続きがあるような気がしたからです。
ごんは、いたずらばかりしている一人ぼっちの子ぎつねです。自分のいたずらのせいで兵十のおっ母が死んだかもしれないと考えたごんは、毎日のように、くりや松たけを兵十の家へ置いていきます。だれにも言わず、置いてくるだけです。
わたしは読みながら、名前を書いた紙を一まい置けばいいのに、と何度も思いました。でも、ごんはそうしませんでした。ほめてほしくてやっていたのではなく、自分がしてしまったことを自分で取りかえそうとしていただけなのだと思います。
三年生のとき、わたしは友だちの筆箱を落として、中のえん筆をおってしまいました。わざとではなかったけれど、こわくて言えませんでした。次の日、わたしは新しいえん筆をこっそり筆箱に入れました。友だちは気づかないままでした。わたしは、ほっとしたのと、もやもやしたのが、半分ずつでした。
あのときのもやもやが、ごんを読んでやっと分かりました。わたしは、あやまるのがこわくて、物でごまかしただけだったのです。ごんも同じだったのかもしれません。ちがうのは、ごんはそれを毎日続けたことです。
さいごに、兵十はごんをうってしまいます。土間のくりを見て、やっと気がつきます。分かってもらうために、ごんは死ななければなりませんでした。わたしはそれがくやしいです。
あのとき、わたしは友だちに、ごめんね、と言うべきでした。今からでもおそくないので、言おうと思います。ごんのように、だまって置いてくるのではなく、自分の口で言いたいです。
減り方の内訳
| 数えるもの | 前 → 後 |
|---|---|
| 文字だけ | 1,056字 → 690字(366字減) |
| 字下げ | 10字 → 7字 |
| 行末の空白 | 74字 → 63字 |
| 原稿用紙の字数 | 1,140字 → 760字(380字減) |
文字は366字しか削っていないのに、原稿用紙では380字減りました。
差の14字は、段落が3本減ったことで消えた字下げ3字と行末の空白11字です。
目標は800字でしたから、40字あまりました。
ぎりぎりまで詰めず、少し余らせておくと、清書のときに書き足せます。
学年によって、「整える」の中身が違います
小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編には、書くことの学習過程の一つとして推敲が置かれ、「記述した文章を読み返し,構成や書き表し方などに着目して文や文章を整えること」と示されています。
そして、学年ごとに何をするかが分けて書かれています。
| 学年 | 示されていること |
|---|---|
| 小学1・2年 | 文章を読み返す習慣を付ける。間違いを正したり、語と語や文と文との続き方を確かめたりする |
| 小学3・4年 | 間違いを正したり、相手や目的を意識した表現になっているかを確かめたりする |
| 小学5・6年 | 文章全体の構成や書き表し方などに着目して、文や文章を整える |
低学年で「全体の構成を見直しなさい」と言っても難しいのは、そのためです。
1・2年生は声に出して読み返し、つながりの変なところを直すだけで十分です。
5・6年生になって初めて、段落ごと入れかえたり落としたりする作業になります。
削ってはいけないもの
- 自分の経験——本と自分がつながっている、ただ一つの場所です
- 本を選んだ理由——書き出しにあるなら、短くしても残します
- これからどうしたいか——ここが無いと、読み終わった感想で終わります
逆に、いくら短くしても字数が減らないときは、あらすじがまだ多い可能性があります。
物語の説明を指で隠して読んでみて、意味が通るなら、その部分は削れます。
足りないときは
削りすぎて字数が届かなくなったら、もう1枚ふくらませる書き方に4つの広げ方をまとめてあります。
削るのと足すのは、同じ材料を前後に動かす作業です。