六十七
故事成語・六十七 衣食足りて礼節を知る
着るものと食べるものがあってこそ、心にゆとりが。
いまのことば
衣食足りて礼節を知るの意味と使い方は?
暮らしにゆとりができてはじめて、人は礼儀や節度を気にかけるようになるということ。
ことばの景色
春秋時代の斉の国に、管仲という宰相がいました。管仲は、国を治めるには、まず人びとの暮らしを安定させることが大切だと考えました。
管仲の考えを伝える書物『管子』の「牧民」の篇には、米の蔵がいっぱいになれば人は礼儀やきまりを知り、着るものと食べるものが足りれば、ほまれと恥を知るようになる、という意味の一節があります。今よく使う「衣食足りて礼節を知る」は、この一節をもとにした言い方です。
おなかがすいてこごえている人に、まず礼儀を説いても、なかなか心に届きません。暮らしが落ちつくことで、はじめて人を思いやる余裕が生まれる、という考えです。
たとえば、「おなかがすいていたときはいらいらしていたけれど、給食を食べたらみんな落ちついて、話し合いがうまく進んだ。衣食足りて礼節を知る、だね」のように使います。
使い方の例
- 朝ごはんをしっかり食べた日は、友だちにもやさしくできる気がする。衣食足りて礼節を知る、だ。
- 衣食足りて礼節を知るというように、まず暮らしを落ちつかせることが、思いやりの土台になる。
考えてみよう
- 問一おなかがすいたり、ねむかったりすると、あなたはどう変わりますか。
- 問二心にゆとりがあるとき、人にどんなことができるでしょう。
- 問三みんなが安心して暮らすために、何が大切だと思いますか。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——管仲は、友の鮑叔との友情を伝える「管鮑の交わり」でも知られる人物です。二つのことばを合わせて読むと、管仲という人のすがたがより見えてきます。
原文について
この記事が扱っている
『故事成語』は、中国の古典に由来する言い回し。管子・牧民篇の一節(米の蔵と衣食のたとえ)をもとにした言い方。
原文は
https://zh.wikisource.org/wiki/管子/第01篇牧民で確認できます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。意味や使い方は、国語辞典でもお確かめください。
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