六十二
故事成語・六十二 燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや
小さな鳥には、大きな鳥の空はわからない。
いまのことば
燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんやの意味と使い方は?
小さな考えの人には、大きな人物のもつ遠い志はわからないということ。
ことばの景色
「燕雀」はつばめやすずめのような小さな鳥、「鴻鵠」はおおとりやくぐいのような、大空を遠くまで飛ぶ大きな鳥です。軒先を飛びまわる小さな鳥には、はるかな空を渡っていく大きな鳥の思いはわからない、という景色です。
秦の時代、陳渉(陳勝)という若者が、人にやとわれて畑仕事をしていました。あるとき陳渉は、仲間に「もしえらくなっても、おたがい忘れないようにしよう」と言いました。仲間たちは「やとわれて畑をたがやしている者が、えらくなんてなれるものか」と笑いました。
陳渉はため息をついて、「つばめやすずめに、おおとりの志がわかるだろうか」と言いました。のちに陳渉は、秦に対して最初に大きく立ち上がった人の一人となります。
たとえば、「将来、宇宙の研究をしたいと話したら笑われたけれど、燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんやと、心の中でつぶやいた」のように使います。
考えてみよう
- 問一あなたの「大きな夢」を、だれかに話したことはありますか。
- 問二人の夢を聞いたとき、あなたはどんなことばを返しますか。
- 問三大きな志をもちつづけるために、何が助けになると思いますか。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——「鴻鵠の志」だけで、大きな志、という意味でも使います。
原文について
この記事が扱っている
『故事成語』は、中国の古典に由来する言い回し。史記・陳渉世家で、やとわれて畑仕事をしていた若い陳渉が、仲間に笑われて言った言葉。
原文は
https://zh.wikisource.org/wiki/史記/卷048で確認できます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。意味や使い方は、国語辞典でもお確かめください。