六十
故事成語・六十 羹に懲りて膾を吹く
熱いスープにこりて、冷たい料理まで吹く。
いまのことば
羹に懲りて膾を吹くの意味と使い方は?
一度の失敗にこりて、必要のないところまで用心しすぎること。
ことばの景色
「羹」は、肉や野菜を煮た熱い吸い物です。「膾」は、生の魚や野菜を細かく切って酢などであえた、冷たい料理です。
熱い吸い物を急いで飲んで、口をやけどした人がいました。それにこりて、今度は冷たい膾まで、ふうふうと吹いてさましてから食べようとする。そのようすが、このことばの景色です。用心することは大切ですが、ここまでくると、かえっておかしなことになってしまいます。
このたとえは、中国の古い詩を集めた『楚辞』の「九章」の中の一篇、「惜誦」にある句がもとになっています。
たとえば、「一度、雨でぬれて風をひいたからといって、晴れの日にもかっぱを着ていくのは、羹に懲りて膾を吹くようなものだ」のように使います。
考えてみよう
- 問一一度の失敗から、用心しすぎてしまったことはありますか。
- 問二「気をつける」ことと「こわがりすぎる」ことの境目は、どこにあると思いますか。
- 問三失敗から学ぶとき、どうすればちょうどよい用心になるでしょう。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——似た意味のことわざに、「蛇にかまれて朽ち縄におじる」があります。一度へびにかまれた人が、くさった縄を見てもこわがる、というたとえです。
原文について
この記事が扱っている
『故事成語』は、中国の古典に由来する言い回し。楚辞・九章の「惜誦」の中の句。熱い羹にこりた人が冷たい膾を吹く、というたとえ。
原文は
https://zh.wikisource.org/wiki/楚辭/九章で確認できます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。意味や使い方は、国語辞典でもお確かめください。