五十六
故事成語・五十六 曲学阿世
学んだことを、まっすぐなまま世に差し出す。
いまのことば
曲学阿世の意味と使い方は?
学問の正しい道をまげて、世の中の人気や、力のある人の気に入るようにふるまうこと。
ことばの景色
漢の時代、学者たちが朝廷に集められたことがありました。その中に、轅固生という年老いた学者と、公孫弘という学者がいました。
轅固生は、正しいと思うことをはっきりと言う人でした。公孫弘が自分を横目で見ているのに気づくと、轅固生はこう言ったと伝えられています。「正しい学問にもとづいて意見を述べなさい。学問をまげて、世の中にこびてはならない」。
「曲学」は学問をまげること、「阿世」は世の中におもねる(気に入られようとする)ことです。自分の学んだことを、その時々の都合に合わせて変えてしまう態度を戒めることばです。
たとえば、「実験の結果が予想とちがっても、先生の気に入る答えに書きかえるのは曲学阿世だ。見たとおりに書こう」のように使います。
考えてみよう
- 問一みんなの意見に合わせたくなるのは、どんなときですか。
- 問二自分が調べたことと、多くの人の考えがちがったら、あなたはどうしますか。
- 問三「まげない」ことと「人の話を聞く」ことは、どうすれば両立できるでしょう。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——このことばは、学者や専門家が権力や世の流れにおもねることを批判するときに、新聞などでも使われてきました。似た考えを、「阿諛追従(あゆついしょう)」ということばであらわすこともあります。
原文について
この記事が扱っている
『故事成語』は、中国の古典に由来する言い回し。史記・儒林列伝で、学者の轅固生が、公孫弘に向けて述べた言葉。
原文は
https://zh.wikisource.org/wiki/史記/卷121で確認できます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。意味や使い方は、国語辞典でもお確かめください。