五十
故事成語・五十 鶏鳴狗盗
にわとりの鳴きまねが、関所の門を開けた。
いまのことば
鶏鳴狗盗の意味と使い方は?
つまらないと思われるような技でも、役に立つときがあるということ。また、そのような技しかもたない人のたとえ。
ことばの景色
戦国時代の斉に、孟嘗君という人がいました。孟嘗君は、多くの食客(家に住まわせて世話をする人たち)をかかえていました。中には、犬のまねをして物をぬすむのがうまい者や、にわとりの鳴きまねがうまい者もいました。
あるとき孟嘗君は秦に招かれ、そこでとらえられてしまいます。犬のまねがうまい男は、夜に宮殿の蔵へしのびこんで白い毛皮の衣を持ち出し、王の気に入りの女性に贈りました。その取りなしで、孟嘗君は許されて逃げ出します。
夜中に国境の関所まで来ましたが、門はにわとりが鳴くまで開かない決まりでした。そこで鳴きまねのうまい男が声をあげると、あたりのにわとりがつられて鳴きだし、門が開きました。こうして一行は、追っ手が来る前に関所をぬけることができたのです。
たとえば、「虫の名前にくわしいだけの特技だと思っていたけれど、理科の自由研究で大活躍した。まさに鶏鳴狗盗だ」のように使います。
考えてみよう
- 問一あなたの「ちょっとした特技」は何ですか。それが役に立つのはどんな場面でしょう。
- 問二孟嘗君が、いろいろな人を集めていたのはなぜだと思いますか。
- 問三友だちのもっている、目立たないけれどすごい力を、一つ挙げてみましょう。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——このことばには、「つまらない技しかない、取るに足りない人」を見下す意味と、「ささいな技でも役に立つことがある」という意味の、二つの意味があります。
原文について
この記事が扱っている
『故事成語』は、中国の古典に由来する言い回し。史記・孟嘗君列伝で、秦から逃げ出す孟嘗君を、犬のまねの盗みとにわとりの鳴きまねがうまい食客が救った話。
原文は
https://zh.wikisource.org/wiki/史記/卷075で確認できます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。意味や使い方は、国語辞典でもお確かめください。