四十六
故事成語・四十六 鶏口牛後
牛のしっぽより、にわとりのくちばしに。
いまのことば
鶏口牛後の意味と使い方は?
大きな集団の中でいちばん後ろにいるより、小さな集団でも、その長になるほうがよいということ。
ことばの景色
中国の戦国時代、七つの国が争っていました。なかでも西の秦が強くなり、ほかの国々は秦に従うかどうかで迷っていました。
蘇秦という人は、国々をめぐって「力を合わせて秦に対抗しましょう」と説いて回りました。韓の王に会ったとき、蘇秦は「にわとりの口になっても、牛の後ろにはなるな」という言い回しを引きました。大国の言いなりになって後ろにつくより、小さくても一国の主として立つほうがよい、という説得です。
「鶏口」はにわとりのくちばし、つまり小さなものの先頭。「牛後」は牛のしり、つまり大きなものの後ろのほうです。いまでは、大きな組織の下っぱより、小さな集まりの中心になって力を出すほうがよい、という意味で使われます。
たとえば、「強いチームの補欠になるより、鶏口牛後で、人数の少ないクラブのキャプテンとしてがんばりたい」のように使います。
考えてみよう
- 問一大きな集まりの一人でいるのと、小さな集まりのまとめ役でいるのと、あなたはどちらが力を出せそうですか。
- 問二「先頭に立つ」ことで、得られるものと、背おうものは何でしょう。
- 問三大きな集まりの後ろにいても、自分らしくいられるのは、どんなときですか。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——ことわざの「寄らば大樹の陰」は、たよるなら大きなものがよい、という考え方で、鶏口牛後とは向きが反対です。どちらが正しいというより、場面によって選ぶ考え方として並べてみると、ちがいがよく見えます。
原文について
この記事が扱っている
『故事成語』は、中国の古典に由来する言い回し。史記・蘇秦列伝で、蘇秦が韓の王に、秦に従わず国々と手を結ぶよう説いた場面の言葉。
原文は
https://zh.wikisource.org/wiki/史記/卷069で確認できます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。意味や使い方は、国語辞典でもお確かめください。