三十五
故事成語・三十五 覆水盆に返らず
こぼれた水は、もう盆には戻らない。
『拾遺記』より
いまのことば
覆水盆に返らずの意味と由来は?
一度してしまったことは、もう取り返しがつかないということ。
ことばの景色
周の軍師・太公望は、若いころ貧しく、学問ばかりして働かなかったため、妻に見限られて去られてしまいます。のちに出世した太公望のもとへ、その妻がよりを戻したいと訪ねてきました。
太公望は盆(浅い皿)の水を地面にこぼし、「これを盆に戻せたら、望みをかなえよう」と言ったと『拾遺記』に伝わります。こぼれた水は、二度と盆には戻りません。
「覆水盆に返らず」は、この話から、一度してしまったことは、取り返しがつかないという意味で使われます。
考えてみよう
- 問一取り返しのつかないことをしてしまった経験はありますか。
- 問二太公望の妻の気持ちを、どう思いますか。
- 問三「取り返しがつかない」からこそ、行動する前に大切にしたいことは何でしょう。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——「覆水盆に返らず」のような故事成語は、二千年以上前の中国の書物にある一場面が、そのまま毎日使うことばになったものです。物語ごと覚えると、忘れず、使いどころも間違えません。
原文について
この記事が扱っている
『故事成語』は、中国の古典に由来する言い回し。この回のもとの話は『拾遺記』に記されています。
もとの話を載せる『拾遺記』の版本は、
国立公文書館 デジタルアーカイブ『拾遺記』(内閣文庫蔵)で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。