二十九
故事成語・二十九 断腸の思い
子を失った母ざるの、百里の叫び。
『世説新語』より
いまのことば
断腸の思いの意味と由来は?
はらわたがちぎれるほど、つらく悲しい思い。
ことばの景色
船で川を下っていた武将の一行が、崖づたいに追いかけてくる一匹の母ざるに気づきます。子ざるを連れ去られた母ざるは、百里あまりも岸をつたって鳴き続け、ついに船に飛び乗ったところで息絶えました。
その体を開いてみると、悲しみのあまり、はらわたが幾重にもちぎれていた——『世説新語』にある話です。
この話から「断腸の思い」は、はらわたがちぎれるほどの、深い悲しみやつらさを表す言葉になりました。
考えてみよう
- 問一「断腸の思い」というほどの悲しみを、想像したことはありますか。
- 問二動物の親子の絆について、感じることを話してみましょう。
- 問三この話を読んで、どんな気持ちになりましたか。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——「断腸の思い」のような故事成語は、二千年以上前の中国の書物にある一場面が、そのまま毎日使うことばになったものです。物語ごと覚えると、忘れず、使いどころも間違えません。
原文について
この記事が扱っている
『故事成語』は、中国の古典に由来する言い回し。この回のもとの話は『世説新語』に記されています。
もとの話を載せる『世説新語』の版本は、
国立公文書館 デジタルアーカイブ『世説新語』(内閣文庫蔵・昌平坂学問所旧蔵)で画像を見られます。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。
表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。