ブラックホールって何?写真はあるの?
お子さんと保護者の方へ。いっしょに読んで、確かめましょう。
いまのことば
ブラックホールって何?写真はあるの?

光も吸いこむ天体
ブラックホールは、重力が大きすぎて、光でさえも逃げだしてくることができない天体です。光が出てこないので真っ黒に見え、「黒い穴」という意味の名前がつきました。莫大な質量をもつのに非常にコンパクトで、そのまわりでは時空がゆがみ、まわりの物質は激しく熱くなります。
光も、ある距離より近づくと、ブラックホールの重力にとらえられ、まわりを回りながら、やがて吸いこまれてしまいます。まわりに輝くガスのような明るいものがあれば、ブラックホールは「影」のように暗く見えるはずだと、アインシュタインの一般相対性理論から考えられていました。
地球サイズの望遠鏡で写す
撮影したのは「イベント・ホライズン・テレスコープ」という国際協力プロジェクトです。チリ、スペイン、アメリカのハワイ、メキシコなど、世界の8つの電波望遠鏡をつなぎ、地球の自転も利用して、地球サイズの望遠鏡と同じはたらきをさせました。
写されたのは、おとめ座銀河団の銀河M87の中心にあるブラックホールです。地球から5500万光年はなれていて、質量は太陽の65億倍もあります。明るいリングの中に暗い部分が写っていて、これがブラックホールシャドウです。
「黒い穴」という名前のわけ
ブラック=黒い、ホール=穴。光が出てこないので真っ黒に見えることから、「黒い穴」という意味の名前がつきました。英語の意味が分かると、名前そのものが、この天体の特徴を言い表していることに気づけます。
「重い」と「小さい」は、ふだんの生活では、なかなかいっしょになりません。重い物は大きい、と思いがちです。ばく大な質量をもつのに、とてもコンパクト。その思いこみが通じないところに、ブラックホールのふしぎがあります。
光の道すじを、紙にかいてみる
- 紙のまん中に、小さな黒い丸をかきます。これがブラックホールです。
- 丸から少しはなれた所から、丸のまわりを回りながら近づいていく線をかきます。
- 線がだんだん丸に近づき、最後に丸の中へ消えていくようにかきます。これが、ある距離より近づいた光のようすです。
- 別の紙をオレンジ色か黄色でぬって、まん中に黒い丸をかきます。明るいリングと、中の暗い部分。これが、写されたブラックホールの「影」の形です。
ブラックホールそのものは光を出しません。けれど、まわりが明るければ、その中に暗い所が浮かび上がります。見えないものを、まわりのようすから知る。これが、ブラックホールを写すための考え方でした。
2019年4月10日の発表
国際チームは、2019年4月10日、世界6か所で同時に開かれた記者会見で、ブラックホールとその影を初めて画像でとらえたと発表しました。観測が行われたのは、発表より前の2017年4月です。発表では、この成果は200人以上の研究者がチームとして力を合わせたものだと語られました。
日本の研究者も、この研究に貢献しました。チリにあるアルマ望遠鏡は、観測に参加した望遠鏡の中でいちばん感度が高く、アルマ望遠鏡のデータを送る装置は、国立天文台が開発しました。
「写真はあるの?」という問いへの答えは、「ブラックホールの影を写した画像がある」ということになります。
2022年、天の川銀河の中心も
2022年5月12日には、同じ国際チームが、わたしたちが住む天の川銀河の中心にある巨大ブラックホール「いて座A*(エースター)」を初めて写したと発表しました。地球から約2万7000光年の距離にあり、質量は太陽の400万倍です。
その見かけの大きさは、月の上に置いたドーナツ(直径8cmほど)くらい。M87のブラックホールとくらべて質量は1000分の1以下ですが、2つのブラックホールの見た目は、とてもよく似ています。
2つの大きさをくらべる
M87のリングの明るい部分は、月の表面に置いた野球のボールを地球から見たくらいの大きさでした。天の川銀河のブラックホールは、月の上に置いたドーナツくらいです。夜空の月を見上げて、その上にボールやドーナツが一つ置いてあるところを思いうかべてみてください。それほど小さく見えるものを、世界の電波望遠鏡をつないで写したのです。
今日の3分の一歩
「光の道すじを、紙にかいてみる」でかいたリングの絵を見ながら、家族で問一から問三を話してみましょう。
子「風は見えないけど、木がゆれると分かるよね」
親「そうだね。足あとを見て、だれが通ったか考えるのも同じかな」
子「ブラックホールも、まわりの光で見つけたんだね」
※会話は家庭での例です。
考えてみよう
- 問一目に見えないものを、まわりのようすから知る方法を、ほかに思いつきますか。
- 問二1台ではできないことを、たくさん集めてやりとげた例を、身近に探してみましょう。
- 問三光まで吸いこむ天体を、人はどうやって見つけるのでしょう。自分の考えを書いてみましょう。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
よくある質問
ブラックホールの写真はありますか?
ブラックホールそのものは光を出しませんが、まわりの明るいリングの中に写った暗い部分「ブラックホールシャドウ」の画像があります。2019年4月10日に、銀河M87の中心にあるブラックホールの影を初めて写したと発表されました。
どうやって写したのですか?
「イベント・ホライズン・テレスコープ」という国際協力のプロジェクトが、世界の8つの電波望遠鏡をつなぎ、地球の自転も利用して、地球サイズの望遠鏡と同じはたらきをさせて写しました。
天の川銀河の中心にも、ブラックホールはありますか?
あります。「いて座A*(エースター)」とよばれ、地球から約2万7000光年の距離にあり、質量は太陽の400万倍です。2022年5月12日に、初めて写したと発表されました。
なぜ「ブラックホール」という名前なのですか?
重力が大きすぎて、光でさえも逃げだしてくることができず、真っ黒に見えるからです。「黒い穴」という意味の名前がつきました。
ブラックホールが光でさえも逃げだせない天体で「黒い穴」と名づけられたこと、ブラックホールの性質、光がとらえられて影のように見えること、イベント・ホライズン・テレスコープの8つの電波望遠鏡、M87のブラックホールの距離と質量、リングの大きさは、国立天文台「史上初、ブラックホールの撮影に成功」(2019年4月10日)、国立科学博物館「宇宙の質問箱 宇宙論編」によります。発表の記者会見・観測の時期・研究者の数・日本の貢献も、同じ国立天文台の発表によります。天の川銀河の中心のブラックホールは、国立天文台「天の川銀河中心のブラックホールの撮影に初めて成功」(2022年5月12日)によります。
本文は株式会社士心が作成したものです。
