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ブラックホールって何?写真はあるの?

宇宙の道・問い 八

お子さんと保護者の方へ。いっしょに読んで、確かめましょう。

いまのことば

ブラックホールって何?写真はあるの?

ブラックホールは、ものすごく重いのにとても小さく、まわりの時空をゆがめる天体です。2019年4月、世界の電波望遠鏡でんぱぼうえんきょうをつないだ国際チームが、銀河M87の中心にある巨大ブラックホールの「影」を初めて写したと発表しました。
オレンジ色に光るリングと中心の黒い影、地球の上の電波望遠鏡を線でつないだ図解

光も吸いこむ天体

ブラックホールは、重力が大きすぎて、光でさえも逃げだしてくることができない天体です。光が出てこないので真っ黒に見え、「黒い穴」という意味の名前がつきました。莫大な質量をもつのに非常にコンパクトで、そのまわりでは時空がゆがみ、まわりの物質は激しく熱くなります。

光も、ある距離より近づくと、ブラックホールの重力にとらえられ、まわりを回りながら、やがて吸いこまれてしまいます。まわりに輝くガスのような明るいものがあれば、ブラックホールは「影」のように暗く見えるはずだと、アインシュタインの一般相対性理論から考えられていました。

地球サイズの望遠鏡で写す

撮影したのは「イベント・ホライズン・テレスコープ」という国際協力プロジェクトです。チリ、スペイン、アメリカのハワイ、メキシコなど、世界の8つの電波望遠鏡をつなぎ、地球の自転も利用して、地球サイズの望遠鏡と同じはたらきをさせました。

写されたのは、おとめ座銀河団の銀河M87の中心にあるブラックホールです。地球から5500万光年はなれていて、質量は太陽の65億倍もあります。明るいリングの中に暗い部分が写っていて、これがブラックホールシャドウです。

「黒い穴」という名前のわけ

ブラック=黒い、ホール=穴。光が出てこないので真っ黒に見えることから、「黒い穴」という意味の名前がつきました。英語の意味が分かると、名前そのものが、この天体の特徴とくちょうを言い表していることに気づけます。

「重い」と「小さい」は、ふだんの生活では、なかなかいっしょになりません。重い物は大きい、と思いがちです。ばく大な質量しつりょうをもつのに、とてもコンパクト。その思いこみが通じないところに、ブラックホールのふしぎがあります。

光の道すじを、紙にかいてみる

  1. 紙のまん中に、小さな黒い丸をかきます。これがブラックホールです。
  2. 丸から少しはなれた所から、丸のまわりを回りながら近づいていく線をかきます。
  3. 線がだんだん丸に近づき、最後に丸の中へ消えていくようにかきます。これが、ある距離きょりより近づいた光のようすです。
  4. 別の紙をオレンジ色か黄色でぬって、まん中に黒い丸をかきます。明るいリングと、中の暗い部分。これが、写されたブラックホールの「影」の形です。

ブラックホールそのものは光を出しません。けれど、まわりが明るければ、その中に暗い所が浮うかび上がります。見えないものを、まわりのようすから知る。これが、ブラックホールを写すための考え方でした。

2019年4月10日の発表

国際チームは、2019年4月10日、世界6か所で同時に開かれた記者会見で、ブラックホールとその影を初めて画像でとらえたと発表しました。観測が行われたのは、発表より前の2017年4月です。発表では、この成果は200人以上の研究者がチームとして力を合わせたものだと語られました。

日本の研究者も、この研究に貢献こうけんしました。チリにあるアルマ望遠鏡は、観測に参加した望遠鏡の中でいちばん感度かんどが高く、アルマ望遠鏡のデータを送る装置そうちは、国立天文台こくりつてんもんだいが開発しました。

「写真はあるの?」という問いへの答えは、「ブラックホールの影を写した画像がある」ということになります。

2022年、天の川銀河の中心も

2022年5月12日には、同じ国際チームが、わたしたちが住む天あまの川がわ銀河ぎんがの中心にある巨大ブラックホール「いて座ざA*(エースター)」を初めて写したと発表しました。地球から約2万7000光年の距離にあり、質量は太陽の400万倍です。

その見かけの大きさは、月の上に置いたドーナツ(直径8cmほど)くらい。M87のブラックホールとくらべて質量は1000分の1以下ですが、2つのブラックホールの見た目は、とてもよく似ています。

2つの大きさをくらべる

M87のリングの明るい部分は、月の表面に置いた野球のボールを地球から見たくらいの大きさでした。天の川銀河のブラックホールは、月の上に置いたドーナツくらいです。夜空の月を見上げて、その上にボールやドーナツが一つ置いてあるところを思いうかべてみてください。それほど小さく見えるものを、世界の電波望遠鏡でんぱぼうえんきょうをつないで写したのです。

今日の3分の一歩

「光の道すじを、紙にかいてみる」でかいたリングの絵を見ながら、家族で問一から問三を話してみましょう。

子「風は見えないけど、木がゆれると分かるよね」
親「そうだね。足あとを見て、だれが通ったか考えるのも同じかな」
子「ブラックホールも、まわりの光で見つけたんだね」

※会話は家庭での例です。

考えてみよう

  • 問一目に見えないものを、まわりのようすから知る方法を、ほかに思いつきますか。
  • 問二1台ではできないことを、たくさん集めてやりとげた例を、身近に探してみましょう。
  • 問三光まで吸いこむ天体を、人はどうやって見つけるのでしょう。自分の考えを書いてみましょう。

答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。

よくある質問

ブラックホールの写真はありますか?

ブラックホールそのものは光を出しませんが、まわりの明るいリングの中に写った暗い部分「ブラックホールシャドウ」の画像があります。2019年4月10日に、銀河M87の中心にあるブラックホールの影を初めて写したと発表されました。

どうやって写したのですか?

「イベント・ホライズン・テレスコープ」という国際協力のプロジェクトが、世界の8つの電波望遠鏡をつなぎ、地球の自転も利用して、地球サイズの望遠鏡と同じはたらきをさせて写しました。

天の川銀河の中心にも、ブラックホールはありますか?

あります。「いて座A*(エースター)」とよばれ、地球から約2万7000光年の距離にあり、質量は太陽の400万倍です。2022年5月12日に、初めて写したと発表されました。

なぜ「ブラックホール」という名前なのですか?

重力が大きすぎて、光でさえも逃にげだしてくることができず、真っ黒に見えるからです。「黒い穴」という意味の名前がつきました。

豆知識——写されたリングの明るい部分の大きさは、およそ42マイクロ秒角。これは、月の表面に置いた野球のボールを、地球から見たときの大きさにあたります。
この記事について
ブラックホールが光でさえも逃げだせない天体で「黒い穴」と名づけられたこと、ブラックホールの性質、光がとらえられて影のように見えること、イベント・ホライズン・テレスコープの8つの電波望遠鏡、M87のブラックホールの距離と質量、リングの大きさは、国立天文台「史上初、ブラックホールの撮影に成功」(2019年4月10日)、国立科学博物館「宇宙の質問箱 宇宙論編」によります。発表の記者会見・観測の時期・研究者の数・日本の貢献も、同じ国立天文台の発表によります。天の川銀河の中心のブラックホールは、国立天文台「天の川銀河中心のブラックホールの撮影に初めて成功」(2022年5月12日)によります。
本文は株式会社士心が作成したものです。

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