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深海の魚なのに、夜は浅い海へ上がってくるの?

「深海魚」と聞くと、太陽の光が届かない深い海底や中層に留まり続けている姿を想像しがちです。しかし実際には、昼間は深海にいて、夜になると餌を求めて海面近くまで泳ぎ上がってくる魚たちがいます。本稿では、国立科学博物館の研究資料やウッズホール海洋研究所(WHOI)の解説をもとに、深海性魚類の分類(一次性深海魚と二次性深海魚)や、夜間に海面付近へと移動する「日周鉛直回遊(にっしゅうえんちょくかいゆう)」の仕組みを解説します。深海魚の多様性や、研究者が行う調査手法、家庭で安全に理解を深める紙上モデルの学び方を整理します。

お子さんと保護者の方へ。深海のふしぎを、いっしょに確かめましょう。

いまのことば

深海の魚なのに、夜は浅い海へ上がってくるの?

「深海魚」と聞くと、太陽の光が届かない深い海底や中層に留まり続けている姿を想像しがちです。しかし実際には、昼間は深海にいて、夜になると餌を求めて海面近くまで泳ぎ上がってくる魚たちがいます。本稿では、国立科学博物館の研究資料やウッズホール海洋研究所(WHOI)の解説をもとに、深海性魚類の分類(一次性深海魚と二次性深海魚)や、夜間に海面付近へと移動する「日周鉛直回遊(にっしゅうえんちょくかいゆう)」の仕組みを解説します。深海魚の多様性や、研究者が行う調査手法、家庭で安全に理解を深める紙上モデルの学び方を整理します。
深海魚が昼は深海にとどまり、夜に海面近くへ上がってくる日周鉛直回遊の図解

重要ポイント

  • 深海性魚類の定義と分類:一般に水深200メートル以深に生息する魚を深海性魚類と呼びます。国立科学博物館の解説では、古くから深海環境に適応してきた「一次性深海魚」(ワニトカゲギス目、ハダカイワシ目など)と、浅い海から深海へ進出したと考えられる「二次性深海魚」(ソコダラ科、ウラナイカジカ科など)に区分されています。
  • 夜間の上昇と摂餌行動:国立科学博物館の資料には「一次性深海魚の多くは摂餌のために夜間海面近くへ上がってきますが」と明記されています。WHOIの解説でも、中深層の生物が日没とともに海面近くへ上昇して餌を食べ、夜明けまでに深海へ戻る回遊が紹介されています。
  • すべての深海魚の共通行動ではない:回遊を行うのは一次性深海魚の多くなどであり、すべての深海魚が毎夜浅場へ上がってくるわけではありません。海底付近に留まる種類や中層に留まる種類もいます。
  • 学術調査の手法:国立科学博物館の資料では、調査・採集の手法として、中層で魚を捕獲する「ビームトロール」や、夜間に海面近くを調査する「稚魚ネット」などが紹介されています。
  • 安全な学び方:夜間の海辺に出るような危険な観察は行わず、昼と夜の海の図を紙の上に描き、魚のカードを動かして移動のリズムを視覚的に理解します。

1. 問いの提起:深海魚はずっと深い底にいるのか?

「深海魚はどこに住んでいますか?」と聞かれたら、「暗くて冷たい海の底」「何百メートルもの深い場所」と答える人が多いでしょう。確かに深海魚は深海環境に適応した生き物ですが、一日中同じ深さに留まっているわけではありません。

海洋では、太陽が沈んで海が夜の闇に包まれると、深い海の中から多くの生き物たちが海面を目指して泳ぎ上がってくる現象が見られます。そして夜が明けるころには、再び深海へと戻っていきます。

深海魚なのに、なぜ夜になると浅い海まで上がってくるのでしょうか。その理由や、どのような魚がそうした行動をとるのかを見ていきましょう。

2. 深海性魚類の分類:一次性深海魚と二次性深海魚

まず、「深海魚」の学術的な分類について整理します。

一般に、海洋生物学では水深200メートルよりも深い場所に生息する魚類を「深海性魚類」と呼びます。国立科学博物館の解説資料によると、深海性魚類はその進化の歴史から大きく2つのグループに分けられています。

1. 一次性深海魚

古くから深海環境に適応してきたグループです。ワニトカゲギス目やハダカイワシ目などがこれに含まれます。発光器を持つものなど、深海特有の形態を持つ種類が多く見られます。

2. 二次性深海魚

浅い海にいた祖先から深海へと生息域を広げたと考えられるグループです。ソコダラ科やウラナイカジカ科などがこれに該当します。

このように深海魚には、古くから深海に適応してきた一次性のグループと、浅海から進出してきた二次性のグループが存在します。

3. 日周鉛直回遊の仕組み:なぜ夜に浅い海へ上がるのか?

深海と浅い海を上下(垂直)に行き来する移動行動を、生物学では「日周鉛直回遊(にっしゅうえんちょくかいゆう)」と呼びます。

国立科学博物館の解説資料には、次のように記されています。

「一次性深海魚の多くは摂餌のために夜間海面近くへ上がってきますが」

また、米国のウッズホール海洋研究所(WHOI)の「Ocean Twilight Zone: Migration」の解説でも、トワイライトゾーン(中深層)に生息する生物が日没とともに海面近くへと上昇して餌を食べ、夜明けまでに再び深海へと戻っていく日周移動について紹介されています。

この回遊の主な目的は「摂餌(せつじ:えさを食べること)」にあります。

  • 昼間:

海面近くには太陽光が差し込みます。深海魚は光の届かない中深層に留まっています。

  • 夜間:

夜になると海面付近も暗くなります。浅い海にはプランクトンなどの餌が存在するため、一次性深海魚の多くは夜間に海面近くへ上がって餌を食べ、朝になる前に再び深海へと戻ります。

4. すべての深海魚が一律に回遊するわけではない

ここで注意すべき点は、すべての深海魚が毎晩海面へ上がってくるわけではないということです。

国立科学博物館の資料でも「一次性深海魚の多くは」と限定されており、深海魚全体の共通行動として書かれているわけではありません。

  • 回遊を行わない種類の例:

海底近くで生活している魚や、特定の水深に留まる魚など、夜になっても海面近くへ上がってこない深海魚もいます。

  • 生息場所の分類:

夜に海面近くへ上がってきたからといって、その魚が浅い海の魚になるわけではありません。生活の本拠地が深海にあり、深海に適応した体を持ちながら夜間に一時的に浅い海へ訪れているため、深海性魚類として位置づけられます。

魚種ごとに生息環境や移動の有無が異なるため、多様な生き方があることを理解することが大切です。

5. 研究者はどうやって夜の回遊を調べているのか?

研究者たちはどのようにしてこの回遊を調べているのでしょうか。

国立科学博物館の資料では、調査・採集の手法として次の網が紹介されています。

  • 「ビームトロール」:中層などで魚を採集するために使われる調査網です。
  • 「稚魚ネット」:夜間に海面近くで魚や生息する生物を採集するために使われます。

こうした調査網を用いて異なる水深や時間帯で採集を行うことなどを通じて、深海魚の生息水深や夜間の移動行動についての研究が進められています。

6. 親子で深める観察と対話のヒント

夜の海辺や船に出るような観察は危険を伴うため避けてください。

安全に学ぶ方法として、紙を使った「昼と夜の海のモデルワーク」が役立ちます。

  • 用意するもの:白い紙、青い色鉛筆、小さな魚の紙カード。
  • 手順1:紙の上部を「海面近く」、下部を「深海(200m以深)」と書き分けます。
  • 手順2:紙の左側を「昼(太陽のマーク)」、右側を「夜(月のマーク)」とします。
  • 手順3:「昼」の側では、魚カードを「深海」の位置に置きます。
  • 手順4:「夜」の側では、魚カードを「海面近く」へ移動させ、上向きの矢印を描きます。
  • 手順5:夜明けに向かって、再び深海へ戻る下向きの矢印を描きます。

このワークを通じて、「夜になると餌を求めて浅いところへ上がり、朝になると深いところへ戻る」という回遊のリズムを視覚的に整理することができます。

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よくある質問(FAQ)

Q1: 深海魚なのに浅い海へ上がってきて、水圧の変化で体は大丈夫なのですか?

A1: 急激に船の上へ引き上げられる場合とは異なり、日周鉛直回遊を行う魚(ハダカイワシなど)は夜間に自ら水深を変えて摂餌のために浅い海へ移動し、夜明けには再び深海へ戻ることが確認されています。

Q2: すべての深海魚が夜に浅い海へ上がってくるのですか?

A2: いいえ、すべての深海魚が上がるわけではありません。国立科学博物館の解説でも「一次性深海魚の多くは」とされており、海底付近に留まる種類や回遊を行わない種類もいます。

Q3: なぜ昼間ではなく夜に上がってくるのですか?

A3: 国立科学博物館の資料では摂餌のためと説明されています。またWHOIの解説でも、日没後に上昇して餌を食べ、夜明けまでに深海へ戻る行動が紹介されています。

Q4: 夜に浅い海へ上がってきた深海魚を、海岸から見ることはできますか?

A4: 一般の海岸や浅瀬で簡単に見られるわけではありません。外洋の海面近くなどで調査網(稚魚ネットなど)を用いて採集されることが多く、夜の海岸に近づくのは危険ですので控えましょう。

Q5: 二次性深海魚とはどのような魚ですか?

A5: 国立科学博物館の解説によると、祖先が浅い海にいて深海へ進出したと考えられるグループです。ソコダラ科やウラナイカジカ科などが挙げられています。 ---

この記事について
「深海魚」と聞くと、太陽の光が届かない深い海底や中層に留まり続けている姿を想像しがちです。しかし実際には、昼間は深海にいて、夜になると餌を求めて海面近くまで泳ぎ上がってくる魚たちがいます。本稿では、国立科学博物館の研究資料やウッズホール海洋研究所(WHOI)の解説をもとに、深海性魚類の分類(一次性深海魚と二次性深海魚)や、夜間に海面付近へと移動する「日周鉛直回遊(にっしゅうえんちょくかいゆう)」の仕組みを解説します。深海魚の多様性や、研究者が行う調査手法、家庭で安全に理解を深める紙上モデルの学び方を整理します。
出典・公的資料:深海性魚類 \| 海の魚たち \| 標本・資料総合データベース - 国立科学博物館、Ocean Twilight Zone: Migration \| Woods Hole Oceanographic Institution
本文は株式会社士心が作成したものです。

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