なぜ人物像は離れた場面の描写を結ぶの?

小6国語で、人物相互の関係と心情、物語全体の人物像や表現の効果を学びます。自作の卒業記念制作の物語を、会話・行動・情景から読みます。三つの練習で、場面を結ぶ複数の根拠を選び、人物の変化を説明します。
こたえ
離れた場面の行動や会話を結ぶと、人物の考えの変化と周囲との関係を具体的に想像できるからです。叙述を根拠にし、繰り返される表現の働きも考えます。
表でみる
| 見るところ | 内容や働き |
|---|---|
| 初めの場面 | 一人で文字を整えようとする |
| 中の場面 | 相手の指から触れる読み方を知る |
| 終わりの場面 | 仲間へ確かめながら制作する |
| 表現 | 「指でなぞる」の反復が関係を結ぶ |
わけを考えよう
自作物語の二つの場面を読む
学習内容を整理すると、描写は、様子や行動、心情などを、読み手が想像できるように描いたものです。人物像は複数の行動や会話などを結び付けて想像し、表現が読み手に与える効果も考えます。以下で「自作」「架空」と示す場面・数値や活動の提案は、この教材の例です。原文引用は、それぞれの出典にある言葉として読みます。自作の物語「指の先の記念板」を読みます。卒業記念の板を作るある六年生は、文字の線を何度も定規で確かめた。「一番きれいにそろえたい」と、小さな線まで一人で直した。隣で作る友達が「少し触ってもいい」と尋ねた。友達は目を閉じ、板のくぼみを指でなぞった。「この線をもう少し深くすると、指でもたどりやすいね。」六年生は定規を置き、自分も目を閉じた。指の先で、途中の線が浅くなる所を見付けた。次の日、六年生は班の仲間へ板を差し出した。「見た感じと、指でたどった感じを教えて。」仲間がなぞるたび、六年生は板の端に小さな印を付けた。帰る時、友達と二人で、深くした線を最後まで指でなぞった。窓の光が、板の文字のくぼみへ静かに入った。これは教材のために作った物語で、人物も場面も架空です。初めと終わりの行動を比べるため、人物の発言と手の動きを読み取ります。

関係と心情の変化を捉える
初めの人物は「一番きれいにそろえたい」と述べ、一人で直しています。形をそろえることを大切にし、丁寧に取り組む人物像が読み取れます。友達の「指でもたどりやすいね」という発言は、目で見る形に加え、触って確かめる観点を示しています。その後、人物が「定規を置き、自分も目を閉じた」という行動は、友達の観点を自分で試そうとする姿として読めます。次の日には、班へ「見た感じと、指でたどった感じを教えて」と尋ねています。一人で整える行動から、仲間と確かめる行動へ変化したことを、二つの場面の根拠で説明できます。相互関係(人物同士の関わり)は、友達の発言、自分で試す行動、仲間との確認を結びます。試し、仲間へ広げ、最後に二人で確かめる流れで捉えます。心情を想像するときは、言葉と行動のどちらから考えたかを添えましょう。
反復と情景の働きを考える
「指でなぞる」という動作は、友達が確かめる場面、班が試す場面、二人で最後までたどる場面を結んでいます。初めは新しい観点を知る動作、後では一緒に完成を確かめる動作として読めます。同じ動作が繰り返されることで、作る過程と関係の進展を感じられる表現です。「板の端に小さな印」は、仲間の確かめた所を制作へ生かす具体的な行動として働いています。終わりの窓の光は、静かな作業の余韻や、文字のくぼみが形になった様子を想像する手掛かりになります。光の描写から人物の心情を考えるときは、「二人で最後まで指でなぞった」という前の行動も合わせます。情景の一語だけに人物の気持ちを割り当てる代わりに、場面のつながりを根拠にします。表現の効果とは、その言葉が読む人の想像や受け取り方へどんな働きをするかを考えることです。
人物像と全体像をまとめる
物語全体の人物像は、〈初めは形を丁寧に整え、一人で完成させようとしたが、友達の見方を自分で試し、仲間と確かめる作り方へ進んだ人物〉とまとめられます。丁寧さという共通点と、確かめ方の変化の両方が入っています。物語の全体像は、きれいな文字を作る活動が、読む人や触れる人と確かめる活動へ広がる過程として想像できます。自分の感想を書くなら〈使う人の感覚を聞くことが制作を変えると考えた〉と、本文の発言や行動を挙げて説明できます。友達が〈仲間へ尋ねる勇気を感じた〉と読んだ場合も、根拠を聞いて自分の読みと比べましょう。読みを一つにそろえる前に、どの叙述を組にしたかを交流すると、人物像を支える根拠が広がります。初め、中、終わりの場面に戻り、行動、会話、情景、反復の関係を線で結ぶと、心情と表現の効果を物語全体で考えられます。 文部科学省 小学校学習指導要領 国語 第5学年及び第6学年には「登場人物の相互関係や心情などについて,」とあります。
もっと知りたい人へ
中学校では人物の言動や表現を、場面の展開と結び付けて読みます。複数の叙述を根拠に人物像を述べる経験は、物語の全体像を考える土台になります。この学びを、中学校の描写から人物の関係や心情を捉える学習から、高校の「言語文化」で作品の見方や表現の特色を考える学習へつなぐ見通しが立てられます(対応する学習事項を踏まえた、この教材の編集上の見通し)。
やってみよう
問題1
人物が友達の観点を自分で試した行動を本文から挙げましょう。
こたえを見る
「定規を置き、自分も目を閉じた」。
前の友達の発言と結び付けて読みます。
問題2
初めと次の日の行動を比べ、確かめ方の変化を説明しましょう。
こたえを見る
一人で線を直すことから、仲間へ見た感じと指でたどった感じを尋ねることへ変化した。
離れた二場面を根拠にします。
問題3
「指でなぞる」の反復は、物語のどんな進展を感じさせますか。
こたえを見る
例:新しい見方を知ることから、仲間と完成を確かめることへ進む様子。
同じ動作の前後での役割を比べます。
よくある質問
学んだことをどう確かめる?
本文の言葉や資料を示し、選んだ理由を説明して確かめます。
出典
- 学習指導要領:第5学年及び第6学年 C 読むこと (1)イ・エ(「登場人物の相互関係や心情などについて,」)
- 文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示) 国語 第5学年及び第6学年
- 文部科学省 小学校国語編解説 PDF151頁
- 文部科学省 小学校国語編解説 PDF153頁
- 文部科学省 中学校学習指導要領 国語 PDF33頁
- 文部科学省 高等学校学習指導要領 国語 PDF39頁