なぜ文字の由来から表記の役割を読むの?

小6国語で、仮名と漢字の由来や特質を学びます。公的な解説の古代の表記と、自作の二つの案内を比べ、音や意味を示す役割を整理します。三つの練習で、文字の工夫と読み手に合わせた表記を資料の根拠で説明します。
こたえ
文字が何を表すために工夫されたかを知ると、今の文で音や意味を示す役割を考えられるからです。資料の表記と解説を合わせ、読み手に合う書き方を比べます。
表でみる
| 見るところ | 内容や働き |
|---|---|
| 漢字の成り立ち | 象形・指事・会意・形声の方法 |
| 漢字の意味 | 言葉の意味を捉える手掛かり |
| 漢字の音 | 万葉仮名の一字一音の使い方 |
| 仮名の由来 | 平仮名の変化と片仮名の部分利用 |
| 今の表記 | 語の意味と読みやすさを合わせて選ぶ |
わけを考えよう
漢字そのものの成り立ちを読む
学習内容を整理すると、平仮名と片仮名は音を表す文字、漢字は意味を表す文字という特質があります。以下で「自作」「架空」と示す場面・数値や活動の提案は、この教材の例です。原文引用は、それぞれの出典にある言葉として読みます。文化庁に掲載された国語審議会の資料は、漢字の成り立ちを象形・指事・会意・形声という四つの方法で説明しています。象形はものの形を基にした文字で、資料には山や川などの例があります。形声の例の〈銅〉は、金属を示す金偏と、音を示す同を組み合わせた字として説明されています。 文化庁 国語審議会資料「漢字はどのやうにして作られたか」には「山・川・馬・鳥・牛・羊等」とあります。山の形を基にする方法と、意味や音を持つ部分を組み合わせる方法を比べましょう。この資料は文字の成り立ちを説明した歴史的な資料として読みます。漢字の字形を作る工夫と、漢字を音で使って仮名へつなげる工夫を分けて記録すると、漢字と仮名の由来の関係を説明できます。

古代の表記を役割で比べる
奈良文化財研究所は、漢字だけで日本語を書く方法について、意味を使う表記と音を使う表記を説明しています。資料には〈私買花〉〈私花買〉という例と、万葉仮名による〈和多志波波奈乎可以万須〉という例があります。 奈良文化財研究所 漢字と仮名で文を書くには「漢字の音を使った一字一音の」とあります。意味を使う二つの短い例は、私、買う、花という語へ目が向きます。音を使う例は、日本語の音を一字ずつ表す工夫です。同じ字形が漢字でも、意味で使うところと音で使うところを、資料の解説に従って分けます。この三例は研究所の解説内の例示として扱い、実際の古代の文章全体を自分で復元するものとは区別します。比較の問いは、どの語を表すか、どの音を示すか、文の関係をどう表すかです。三つを分けると、字数の違いと働きの違いが見えてきます。
混ぜる工夫と仮名の由来を結ぶ
同じ資料は、意味と音を組み合わせる例として〈私波花乎買以万須〉を示し、音を使う部分を小さく書く工夫を説明しています。さらに〈波〉が平仮名の〈は〉へ変わり、漢字の一部を使って片仮名が作られるようになったことを述べています。 奈良文化財研究所 漢字と仮名で文を書くには「漢字の一部を使って片仮名が作られるようになり」とあります。意味を表す語と、音で文を支える部分を組にする方法が、今の表記の由来を考える材料になります。平仮名へ変化する形と、片仮名で部分を使う形は、同じ漢字との関わりを持ちながら作り方が違います。個々の文字を調べるときは、資料が説明する字形と対応を記録します。漢字そのものの字形の由来をさらに調べる活動では、図書館の辞典などで成り立ちの説明と古い形を確かめる課題を作れます。確認した内容と、今後調べる文字を分けてまとめましょう。
音と意味の特質を今の文で見る
文部科学省の国語編解説は、平仮名・片仮名を表音文字、漢字を表意文字として捉える特質を示しています。 文部科学省 国語編解説には「表音文字としての平仮名や片仮名,表意文字としての漢字の特質」とあります。表音は音を表す働き、表意は意味を示す働きです。自作の二つの案内A〈はしをわたって、はしをとる〉とB〈橋を渡って、箸を取る〉を比べます。Aの二つの〈はし〉は、音だけではどの意味かを前後から考えます。Bは〈橋〉と〈箸〉の字から意味の違いを捉える手掛かりを得られます。これは文字の特質を観察するための自作例です。仮名で書くときにも、場面を説明する言葉を足せます。〈川のはしをわたって、食事のはしをとる〉とすると、前後の語が意味の手掛かりになります。文字の働きと文脈の働きを合わせ、どの表記が読む人に伝わるかを比べましょう。
読み手に合わせて表記を選ぶ
案内を読む相手を、初めて文字を学ぶ子と、習った漢字を読める子として考えます。前者には〈川をわたって、食事の道具をとる〉と語や詳しさを選ぶ方法、後者には〈橋を渡って、箸を取る〉と漢字の意味を生かす方法があります。〈箸〉の字を学習する場面なら、読みと意味を別の説明で確かめる方法も使えます。この活動では、読み手が理解しやすい文字と語を条件に合わせて選びます。由来について調べた説明と、自作の案内を読んだ感想を分けて記録します。記録の欄は〈資料の字形と工夫〉〈音や意味の役割〉〈今の文で選んだ表記〉〈相手に合う理由〉です。漢字と仮名がどう結び付いて文を作るかを、資料と日常の表記の両方から確かめます。文字の歴史への問いを残しながら、今の文章で特質を生かす工夫を考えると、言語文化の学びを表記の選択へつなげられます。 文部科学省 小学校学習指導要領 国語 第5学年及び第6学年には「仮名及び漢字の由来,特質などについて理解すること。」とあります。
もっと知りたい人へ
中学校では時間による言葉の変化を理解する学習へ進みます。由来と今の働きを結ぶ方法は、語の意味や表記を目的に合わせて選ぶ助けになります。この学びを、中学校の時間による言葉の変化を理解する学習から、高校の「言語文化」で文字と言葉の変化や古典と現代のつながりを考える学習へつなぐ見通しが立てられます(対応する学習事項を踏まえた、この教材の編集上の見通し)。
やってみよう
問題1
万葉仮名の例で、漢字を一字一音に使うときに注目するのは意味と音のどちらですか。
こたえを見る
音。
資料の解説で示された働きへ戻ります。
問題2
二つの「はし」をBで書き分ける文字と、その働きを説明しましょう。
こたえを見る
「橋」と「箸」。それぞれの意味を捉える手掛かりになる。
同じ音の語を漢字の意味で区別します。
問題3
資料に示された山と銅の成り立ち、平仮名と片仮名の由来をそれぞれ説明しましょう。
こたえを見る
山はものの形を基にする象形、銅は意味を示す金偏と音を示す同を組む形声。平仮名は波がはへ変化した例、片仮名は漢字の一部を使う方法。
漢字の字形を作る方法と、仮名につながる方法を分けてまとめます。
よくある質問
学んだことをどう確かめる?
本文の言葉や資料を示し、選んだ理由を説明して確かめます。
出典
- 学習指導要領:第5学年及び第6学年 知識及び技能 (3)ウ(「仮名及び漢字の由来,特質などについて理解すること。」)
- 文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示) 国語 第5学年及び第6学年
- 奈良文化財研究所 漢字と仮名で文を書く
- 文部科学省 国語編解説 本文129頁・PDF133頁
- 文化庁 国語審議会資料 漢字はどのやうにして作られたか
- 文部科学省 中学校学習指導要領 国語 PDF38頁
- 文部科学省 高等学校学習指導要領 国語 PDF38頁