なぜ読書の問いは感想の交流で広がるの?

小6国語で、読んだ内容を基に考えをまとめ、感想を共有して広げる方法を学びます。三つの自作短文から、生き方への問いを読書記録にします。三つの練習で、違う読みの根拠を比べ、次に読む文章や本を選びます。
こたえ
同じ問いへ向けた違う感想を根拠とともに聞くと、自分の見方へ新しい観点を加えられるからです。読む、記録する、交流する、次の読書へ進む流れを作ります。
表でみる
| 見るところ | 内容や働き |
|---|---|
| 読む | 同じ問いに関わる複数の文章を選ぶ |
| 記録 | 印象に残る叙述と自分の考えを組にする |
| 交流 | 相手の根拠と自分の根拠を比べる |
| 広げる | 考えを更新し次の読書の問いを決める |
わけを考えよう
三つの短文から問いを作る
学習内容を整理すると、読書は、多様なものの見方や考え方に触れ、自分の考えを広げる手掛かりになります。読んでまとめた意見や感想を共有すると、自分の考えを広げる学習になります。以下で「自作」「架空」と示す場面・数値や活動の提案は、この教材の例です。原文引用は、それぞれの出典にある言葉として読みます。教材用の自作短文A「手の中の種」を読みます。「ある子は、育てた花の種を小さな袋に分けた。初めは全部自分でまこうと思った。友達が育て方を尋ねると、種と記録を一緒に渡した。次の季節、違う場所で咲いた花の写真が届いた。」自作短文B「遠回りの地図」は「ある子は、近道だけを記した地図を作った。家族と歩くと、坂の少ない遠回りを選ぶ日もあった。地図に坂と休める場所を加え、行く人に道を選んでもらった」です。自作短文C「直した箱」は「ある子は、古い箱のふたを直した。形を整える前に、使う人が何を入れるかを尋ねた。中に仕切りを作ると、道具が取り出しやすくなった」です。すべて架空の人物の文章です。三つから「自分の工夫を人に役立てるとは、どういうことか」という問いを作り、各文章がどんな行動を描くかを記録します。

叙述と自分の考えを組にする
Aの記録は「種と記録を一緒に渡した→物と育てる方法を一緒に伝えることが役立つと考えた」と書けます。Bは「行く人に道を選んでもらった→相手が選べる情報を作ることが役立つと考えた」、Cは「何を入れるかを尋ねた→作る前に相手の目的を聞くことが役立つと考えた」とまとめられます。矢印の前は本文の叙述、後は読む自分の考えです。文章の内容を説明する部分と、自分の経験や判断を述べる部分を分けます。「人に役立つ」という同じ問いでも、方法を伝える、選択を助ける、目的を聞くという異なる観点があります。自分が特に共感した一つを選び、なぜその行動を大切だと考えたかを説明しましょう。読書記録は、後で根拠と考えを読み返せるように、対応する言葉を組にして残します。題、印象に残る叙述、考え、次の問いという欄が使えます。
違う感想を根拠で比較する
架空の交流で、読み手Aは「短文Aが心に残る。記録を渡すと、自分の経験が誰かの学びになる」と述べます。読み手Bは「短文Bが心に残る。自分が選んだ近道に加え、行く人が道を選べる情報を示すことが大切」と述べます。自分がCの聞く行動へ注目していたなら、二人の感想から、聞くことの後に方法を渡したり、選択する情報を整えたりする観点を加えられます。感想の交流では、どの文を根拠にしたかを尋ね、似ている考えと違う考えを整理します。自分の記録へ「初めは相手の目的を聞くことへ注目した。交流後は、方法を伝え、相手が選べる形にすることも大切だと考えた」と更新できます。これは本文と交流を基にした自分のまとめです。感想を多く並べることに加え、どの意見が自分の考えへどう関わったかを明らかにすると、広がりの過程が伝わります。
次の読書と生活へ進む
次の問いは〈相手の希望と自分の工夫が違うとき、どう相談するか〉と考えられます。学校図書館などで、協力する人物が出る物語や、道具づくりの記録、暮らしの工夫を説明する本を探し、題や紹介を手掛かりに選べます。実際の読書では本の題と読んだ箇所を記録し、前の問いに関わる叙述を選びます。物語なら人物の行動、記録なら試した過程、説明なら工夫の理由というように、文章の種類に合う読み方も考えます。日常の読書へつなげる計画として、短い時間でも一つの叙述と一つの問いを残す方法があります。読書の考えを生活へ生かすなら、相手に尋ねてから作る、説明も添えて渡すなど、自分が試したい行動を選べます。試した後の感想は次の読書の問いになります。読むこと、まとめること、共有することを繰り返すと、読書が自分の考えを広げる働きを具体的に感じられます。 文部科学省 小学校学習指導要領 国語 第5学年及び第6学年には「自分の考えを広げること。」とあります。 学校図書館などで、同じテーマを扱う本を二冊、または本と新聞を探し、調べたことを報告する活動にも進みます。これはこの教材の活動案です。まず自分が調べたい問いを一つ決め、それぞれの資料名、書き手、発行年、読んだページを記録します。二つの資料で同じことを述べている箇所と、違う観点から説明している箇所を抜き出し、事実・書き手の考え・自分の考えを分けて整理します。調べた結果を「問い、使った資料、分かったこと、自分の考え、さらに確かめたいこと」の順で短く報告し、どの資料に基づく説明かを示します。資料で確かめた内容と自分の推測は分けます。(活動の対応:文部科学省小学校学習指導要領 国語 C(2)ウ PDF40頁(冊子38頁))
もっと知りたい人へ
中学校では様々な立場や考え方を読書に生かし、自分の考えを広げたり深めたりします。叙述と感想を記録し交流する習慣は、次の本を目的に応じて選ぶ助けになります。この学びを、中学校の様々な立場や考え方を読書に生かす学習から、高校の「言語文化」で読書の意義や効用を理解する学習へつなぐ見通しが立てられます(対応する学習事項を踏まえた、この教材の編集上の見通し)。
やってみよう
問題1
短文Bで、地図へ加えた情報を二つ挙げましょう。
こたえを見る
坂と休める場所。
行く人が道を選ぶための叙述を確かめます。
問題2
「種と記録を一緒に渡した」を根拠に、自分の考えを一文で書きましょう。
こたえを見る
例:物に加えて使い方や方法を伝えることも、人に役立つ工夫だと考えた。
叙述と自分の判断を対応させます。
問題3
Cへ注目していた読み手が、交流後に加えた二つの観点を答えましょう。
こたえを見る
方法を伝えること、相手が選べる形にすること。
元の観点と交流から得た観点を分けます。
よくある質問
学んだことをどう確かめる?
本文の言葉や資料を示し、選んだ理由を説明して確かめます。
出典
- 学習指導要領:第5学年及び第6学年 C 読むこと (1)オ・カ/知識及び技能 (3)オ(「自分の考えを広げること。」)
- 文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示) 国語 第5学年及び第6学年
- 文部科学省 小学校国語編解説 PDF135頁
- 文部科学省 小学校国語編解説 PDF154頁
- 文部科学省 中学校学習指導要領 国語 PDF35頁
- 文部科学省 高等学校学習指導要領 国語 PDF38頁
- 文部科学省 小学校学習指導要領 国語 高学年C(2)ウ・複数の本や新聞を活用した調査報告