なぜ人物の気持ちはやり取りから読むの?

小5国語で、人物の関係や心情を描写から読み、物語の全体像を想像する方法を学びます。舞台準備を題材にした自作物語で、言葉・動作・場面の変化を比べます。表現の効果も考え、三つの練習で読みの根拠を示します。
こたえ
相手に向けた言葉や動作をたどると、人物どうしの関係と気持ちの変化を具体的に想像できるからです。想像したことを、本文の描写(様子を表す言葉)と組にして説明します。
表でみる
| 見るところ | 内容や働き |
|---|---|
| 初め | Kさんは布を抱え、Lさんは待つ |
| 出来事 | 幕を広げて高さをそろえ、印を付ける提案にうなずく |
| 終わり | Kさんが布を渡し、二人で合図を待つ |
| 表現 | 抱える→渡す、ひもの比喩 |
わけを考えよう
自作物語「幕の向こう」を読む
学習内容を整理すると、描写は、様子や行動、心情などを、読み手が想像できるように描いたものです。人物像は複数の行動や会話などを結び付けて想像し、表現が読み手に与える効果も考えます。以下で「自作」「架空」と示す場面・数値や活動の提案は、この教材の例です。原文引用は、それぞれの出典にある言葉として読みます。舞台準備の自作物語を読みます。「放課後の舞台で、Kさんは幕の布を抱えていた。端をそろえる係のLさんが手を伸ばすと、Kさんは『ぼくが見てからにしよう』と言い、布を胸へ寄せた。昨日、一人で付けた印の位置が気になっていた。Lさんは少し離れた所で待った。幕を広げると、一方の端だけが高くなった。Kさんは印を見直し、長い息を吐いた。『ここを持ってくれる?』Lさんが布を受け、二人で高さをそろえた。『この位置に印を付けよう』とLさんが言うと、Kさんはうなずいた。手の中で固く結ばれていたひもが、少しゆるむようだった。翌朝、Kさんは先にLさんへ布の端を渡した。二人は目を合わせ、幕を上げる合図を待った。」初めと終わりで、布の扱い方と相手への働き掛けが変わります。場面を順番に押さえて、どんな関係の変化を想像できるかを考えましょう。

言葉と動作を根拠にする
初めのKさんは「ぼくが見てから」と言い、布を胸へ寄せています。昨日一人で付けた印の位置を気にしているという文もあります。この二つから、自分で確かめたい気持ちや、準備を自分の手で進めたい思いを想像できます。Lさんは、手を伸ばした後に少し離れて待っています。相手の出方を見ながら待ったとも読めます。ここでは、想像した気持ちに根拠の言葉を添えます。「Kさんは自分で確かめたいと思ったと考える。布を胸へ寄せ、印の位置を気にしているから」と説明できます。自分が同じ場面で感じることは読みを考える手掛かりになります。説明するときには、本文の人物が実際に言ったこと、動いたことへ戻りましょう。同じ描写から別の読みを考えた人とも、根拠を示し合うと、どこを受け止めたかを比べられます。
二人の関係を全体で捉える
出来事の後には、Kさんが「ここを持ってくれる?」と頼み、Lさんが布を受けて、一緒に高さをそろえます。さらにLさんが提案した印の位置に、Kさんがうなずきます。翌朝はKさんから先に布を渡しています。「頼む」「受ける」「提案する」「うなずく」「先に渡す」を並べると、二人が役割を分けて準備する関係へ進んだと想像できます。初めだけなら、Kさんが自分で印を確認する姿に注目します。終わりまで読むと、相手へ任せる行動も加わり、人物像を広げられます。この物語の全体像は、準備で生まれた出来事をきっかけに、一人で確かめる姿から二人で協力する姿へ変わる流れとしてまとめられます。変化を説明するときは、最初と最後の動作に加え、その間のやり取りを根拠にすると、変化の道筋も伝わります。
表現の効果を想像する
「手の中で固く結ばれていたひもが、少しゆるむようだった」は、心の様子をひもの状態にたとえる表現です。その直前には、二人で高さをそろえ、相手の提案にうなずく動作があります。前後を合わせると、緊張がほどけたり、一緒に進める安心を感じたりした様子を想像できます。「Kさんは安心した」と言い換えた文と比べると、ひもの表現は固さからゆるさへの変化を手の感覚として思い描かせます。自分が感じた効果を、表現の言葉と場面に結び付けて説明しましょう。音読では、頼む言葉の前後や、翌朝へ移る所の間を変え、場面の変化を表す読み方も試せます。最後に、物語を読んで考えた協力の意味を自分の言葉にします。「自分の工夫を残しながら、相手の工夫も合わせること」と考えたなら、一緒に高さをそろえ、印の提案にうなずく場面を根拠として添えられます。 文部科学省 小学校学習指導要領 国語 第5学年及び第6学年には「登場人物の相互関係や心情などについて,」とあります。
もっと知りたい人へ
中学校の物語の学習では、人物の言動と場面の関係をさらに詳しく読みます。同じ表現を別の人がどう受け止めたかを聞くと、根拠を保ちながら想像を広げられます。この学びを、中学校の描写から人物の関係や心情を捉える学習から、高校の「言語文化」で作品の見方や表現の特色を考える学習へつなぐ見通しが立てられます(対応する学習事項を踏まえた、この教材の編集上の見通し)。
やってみよう
問題1
初めのKさんが、自分で確かめたいと考えた根拠になる動作を一つ挙げましょう。
こたえを見る
布を胸へ寄せたこと。
相手が手を伸ばした後の動作に注目します。
問題2
翌朝の二人の関係の変化を、Kさんの動作を使って説明しましょう。
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例:Kさんが先に布を渡しているので、Lさんと役割を分けて協力する関係になったと考えられる。
初めの抱える姿と終わりの渡す姿を比べます。
問題3
ひもがゆるむようだという表現から想像できる気持ちを、前の出来事と合わせて書きましょう。
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例:二人で高さをそろえ、Lさんの提案を受け入れて、緊張がほどけ安心した気持ち。
比喩を、直前のやり取りにつなげて考えます。
よくある質問
一人でどう振り返る?
本文の具体例と自分の説明を並べ、どの言葉を根拠に考えたかを確かめます。
出典
- 学習指導要領:第5学年及び第6学年 C 読むこと (1)イ・エ(「登場人物の相互関係や心情などについて,」)
- 文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示) 国語 第5学年及び第6学年
- 文部科学省 小学校国語編解説 PDF151頁
- 文部科学省 小学校国語編解説 PDF153頁
- 文部科学省 中学校学習指導要領 国語 PDF33頁
- 文部科学省 高等学校学習指導要領 国語 PDF39頁