なぜ昔の歌を声と景色の両方で味わうの?

小5国語で、古典の言葉の響きと昔の人の感じ方を学びます。公的資料に掲載された万葉集の歌の短い範囲を読み、自作の説明で景色を捉えます。原文と今の言葉を区別し、音読と三つの練習で自分の感じ方もまとめます。
こたえ
声に出すと昔の言葉の響きを、景色を思い描くと歌に表された感じ方を味わえるからです。原文、意味の説明、自分の感想を分けて読みます。
表でみる
| 見るところ | 内容や働き |
|---|---|
| 原文の言葉 | 春過ぎて夏来たるらし |
| 景色の手掛かり | 白栲の衣乾したり |
| 今の言葉での説明 | 白い衣の景色から夏の訪れを感じる |
| 自分の感想 | 季節を感じる身近な景色と比べる |
わけを考えよう
原文の所在を確かめる・短い範囲を声にする
学習内容を整理すると、古文や漢文、近代以降の文語調の作品を声に出して、言葉の響きやリズムに親しみます。作品の解説を読むときは、昔のものの見方や感じ方を知り、今の自分と比べます。以下で「自作」「架空」と示す場面・数値や活動の提案は、この教材の例です。原文引用は、それぞれの出典にある言葉として読みます。奈良県の「持統天皇」のページには、『万葉集』の歌として「春過ぎて夏来たるらし白栲の衣乾したり天の香具山」と掲載されています。ここでは、この掲載表記を原文として使います。原文は昔の作品の言葉、今の言葉での説明はその内容を伝える文章として分けます。短い歌を読むときも、どの資料にどんな表記で載っているかを確かめることが、作品をたどる出発点になります。 奈良県「持統天皇」には「春過ぎて夏来たるらし白栲の衣乾したり天の香具山」とあります。 まず「春過ぎて」と「夏来たるらし」の短い範囲を読みます。「はるすぎて」「なつきたるらし」と、言葉のまとまりを声に出してみましょう。「らし」という響きは、今の言葉の「らしい」と比べられます。最初はまとまりの間で息を整え、次に二つを続けて読みます。声の流れが変わるところや、繰り返し読んで口になじむところを、自分の言葉で記録します。別の種類の響きも試しましょう。漢文の短い言葉として『論語』の「学びて時に之を習う、亦た説ばしからずや。」を読みます。岩国短期大学の掲載原文と解説で確かめ、「まなびて/ときにこれをならう/またよろこばしからずや」と声にします。斜線は教材で示す区切りの案で、学んだことを繰り返す経験と結んで内容を話します。近代の文語調の例には石川啄木の「東海の 小島の磯の 白砂に/われ泣きぬれて/蟹とたはむる」があります。青森県近代文学館の掲載歌で原文を確かめ、「かにとたわむる」と声にし、白砂や涙など、場面を思い描く手掛かりを選びます。斜線は教材の読みの補助です。今の言葉での意味説明と、原文の響きを分けて比べましょう。

季節の移り変わりを捉える・景色を表す言葉を探す
「春過ぎて」は春が過ぎたこと、「夏来たるらし」は夏が来たらしいという捉え方を表しています。ここまでを今の言葉で説明するなら、「春が過ぎ、夏が来たらしい」とまとめられます。これはこの教材で作った意味の説明です。原文の短い言い方と説明の文を交互に読み、同じ内容をどのような音や語の並びで表しているかを比べてみましょう。 続く「白栲の衣乾したり」は、白い衣が干されている景色を思い描く手掛かりになります。「衣」は「ころも」、ここでは身に着ける物を表す言葉として読みます。歌を読む人は、白さや、衣が干されている様子へ目を向けられます。原文にある言葉を紙へ取り出し、色、物、動きなどの観点で整理すると、歌の景色を短い言葉から具体的に想像できます。
歌の感じ方を言葉にする・書かれたことと想像を分ける
この教材では、歌の内容を「白い衣が干されている景色から、夏の訪れを感じている」と説明します。季節の名に、目に映る物の姿と、季節が来たと捉える言葉が組み合わされています。昔の人のものの見方や感じ方を考えるときは、どの言葉からそう考えたかを示します。「白栲」「衣乾したり」と「夏来たるらし」を結び付ければ、説明の根拠を歌の中へ戻せます。 風に衣が揺れている景色を思い描く人もいるでしょう。その場合、「私は、衣が揺れる場面を想像した」と自分の読みとして表せます。歌に書かれた手掛かりと、そこから自分が補った景色は、分けて伝えると話し合えます。友達が衣の白さに注目したら、二人が取り出した語を比べます。同じ原文を読んでも、どこへ目を向けるかによって、思い描く景色が広がります。
原文と説明と感想を並べる・自分の季節の手掛かりと比べる
紙を三つの欄に分けます。原文の欄へ「夏来たるらし」、説明の欄へ「夏が来たらしい」、感想の欄へ「景色から季節を感じるところが心に残った」と書けます。最後の文は自分がそう感じた場合の例です。原文を引用する欄には資料どおりの言葉を、説明の欄には内容を伝える自分の文を使います。この区別があると、作品と自分の考えの両方を大切にして紹介できます。 自分なら、どんな景色から季節の変化を感じるでしょうか。通学路の花、着る物、夕方の明るさなど、実際に見たことを選びます。歌と比較するときは、「景色から季節を感じる点は似ている」「注目した物は衣と花で違う」のように、同じ点と違う点を示します。昔の人の感じ方を読んだ上で、自分が大切にしている景色を考える活動につなげられます。
響きを選んで読み直す
最後に冒頭の短い範囲を読み直し、春から夏へ移る内容を意識して、声の間の取り方を選びます。「春過ぎて」の後で少し間を置くと、移り変わりへ耳を向けられます。続けて読むと、言葉の流れを味わえます。どちらの読み方でも、選んだ理由を歌の内容と結び付けて説明しましょう。古典を声にする活動と、内容を読む活動を行き来して、自分の読みを深められます。 文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示) 第5学年及び第6学年 国語には「言葉の響きやリズムに親しむこと。」とあります。
もっと知りたい人へ
同じ作品でも、掲載資料によって文字の表記が違うことがあります。次に別の資料を使うときは、資料名と表記を記録し、その資料に載る言葉をそのまま引用して比べましょう。この学びを、中学校の文語のきまりや訓読の仕方を知って音読する学習から、高校の「言語文化」で古典の表現や歴史的背景を理解する学習へつなぐ見通しが立てられます(対応する学習事項を踏まえた、この教材の編集上の見通し)。
やってみよう
問題1
「春過ぎて夏来たるらし」の内容を、今の言葉で短く説明しましょう。
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春が過ぎ、夏が来たらしい。
春から夏へ移ったことを捉える言葉として読みます。
問題2
この歌で白い衣が干されている景色を表す部分を、掲載表記どおりに取り出しましょう。
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白栲の衣乾したり。
色と物とその様子が表された原文を取り出します。
問題3
「夏来たるらし」「夏が来たらしい」「衣の白さが心に残った」を、原文・意味の説明・感想に分けましょう。
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順に、原文・意味の説明・感想。
作品の言葉、内容の言い換え、読み手の感じ方を分けます。
よくある質問
学んだことをどう確かめる?
自分の文で、選んだ語句と理由を説明し、本文の例と比べます。
出典
- 学習指導要領:第5学年及び第6学年 知識及び技能 (3)ア・イ(「言葉の響きやリズムに親しむこと。」)
- 文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示) 国語 第5学年及び第6学年
- 奈良県「持統天皇」
- 文部科学省 小学校国語編解説 PDF131頁
- 文部科学省 中学校学習指導要領 国語 PDF32頁
- 文部科学省 高等学校学習指導要領 国語 PDF38頁
- 岩国短期大学 建学の精神及び教育理念
- 青森県近代文学館 石川啄木歌碑