なぜ人物の気持ちは行動や描写から考える?

なぜ人物の気持ちは行動や描写から考える? 場面で見える行動や言葉が、人物の気持ちの変化を捉える手掛かりになるからです。 身近な場面の短文を比べ、言葉と意味のつながりを確かめます。表と三つの練習を使い、自分の言葉で理由を説明する中学一年の
こたえ
場面で見える行動や言葉が、人物の気持ちの変化を捉える手掛かりになるからです。
表でみる
| 見るところ | 確かめること |
|---|---|
| 場面 | 時間・場所・出来事の変化を見る |
| 人物関係 | 言葉や行動が誰へ働くかを結ぶ |
| 心情 | 描写を根拠として変化を説明する |
わけを考えよう
物語を読むときは、出来事の順と人物の動きを一緒に追います。人物の心情が言葉で直接示される場面も、動作や会話から感じ取る場面もあります。学習用の自作短文「発表前、私は原稿の端を握った。友達がうなずくと、顔を上げて最初の文を読んだ」を考えましょう。原稿を握る動きと顔を上げる動きを比べると、発表へ向かう人物の変化を考えられます。気持ちを考える際は、手掛かりにした描写を示します。

場面は、時間、場所、人物、出来事などのまとまりです。場面の区切りを見つけるには、時や場所が変わるところ、新しい人物が登場するところ、出来事の進み方が変わるところへ目を向けます。一つの場面で人物が何をしていたかを短く記録すると、次の場面との違いを比べられます。物語の展開を時間の順に並べることと、人物の行動の意味を考えることを分けて行うと、根拠を探しやすくなります。
人物の相互関係は、互いの行動や言葉がどう影響するかということです。先ほどの短文では、友達のうなずきが、語り手の顔を上げる動きの前に置かれています。友達が支える役割を果たしたと読むなら、二つの動きを結び付けて理由を説明できます。人物の名前を丸で囲み、発言や動作のやり取りを矢印で示す方法もあります。誰が誰へ働きかけたかを見ると、場面の中での関係を整理できます。
心情を表す語を選ぶときは、本文の範囲へ戻って確かめます。「安心した」「勇気が出た」などの読みが考えられる場合でも、その語が本文のどの動作と合うかを説明します。読み方が複数ある場面では、どれか一語に急いで決めるより、それぞれの根拠を比べられます。本文が直接述べることと、自分が描写から考えたことを分けて書きましょう。根拠を持つ解釈として示すと、友達と読み方を伝え合えます。
心情の変化を記録する表には、前の場面の様子、変化のきっかけ、後の場面の様子を並べます。例えば発表前の動作、友達の反応、発表を始める動作という順です。表の各欄に本文の短い言葉を入れ、その下に自分が考えた気持ちを書きます。変化のきっかけが一つの出来事か、複数の出来事の積み重ねかも見てみましょう。場面を結び付けると、物語の展開と心情の変化を一緒に捉えられます。
景色や音の描写にも注目できます。人物の行動の前後にある景色が、場面の雰囲気を作る場合があります。「廊下に声が響いた」「窓の光が机へ伸びた」などの描写は、読み手が場所や空気を想像する手掛かりです。描写を心情の根拠に使うときは、人物の言葉や行動との関係も確かめます。景色の印象だけから気持ちを決めるより、複数の手掛かりを組み合わせると、本文に沿った読み方を考えられます。
読んで考えたことを記録する際は、心に残った場面、本文の手掛かり、自分の考えの順に書きます。友達へ伝えるときも、同じ順で話せます。相手が別の動作へ注目したら、その動作がどの場面とつながるかを一緒に確かめましょう。人物の行動を自分の体験と比べることもできますが、まず本文にある内容を捉えてから、別の欄へ自分の経験を書きます。読むことと感じたことを区別して結び付ける学習になります。
学習指導要領では「場面の展開や登場人物の相互関係」と示されています。ここで使う短文や場面は、この学習のために作った例です。
もっと知りたい人へ
人物の心情を読む方法は、小説だけでなく、書き手の経験を述べる随筆にも応用できます。行動や言葉の前後にある描写へ戻り、どんな変化があったかを確かめましょう。自分の経験を思い出したら、本文の人物が経験したことと、自分の体験を分けて記録します。本文の手掛かりを共有した上で感想を伝え合うと、同じ場面から生まれるさまざまな読みを比べられます。
やってみよう
問題1
「友が手を振ると、私は窓辺へ近づいた」という自作例で、働きかけた人物は?
こたえを見る
友。
友の動作が先にあり、語り手の動作へつながっています。
問題2
人物の心情を「安心した」と読むとき、説明に添えるものは?
こたえを見る
その読みを支える本文の行動や言葉。
解釈と根拠を結び付けます。
問題3
心情の変化を表にする三つの欄を挙げよう。
こたえを見る
前の様子、変化のきっかけ、後の様子。
場面の展開と心情の動きを対応させます。
よくある質問
何から確かめればよい?
時間・場所・出来事の変化を見る
自分の説明をどう見直す?
使った言葉や本文の箇所を示し、そこから考えた理由を一文添えます。
出典
- 学習指導要領:第1学年 国語 思考力等C(1)イ/C(2)イ(「場面の展開や登場人物の相互関係」)
- 文部科学省 中学校学習指導要領(平成29年告示)第1学年国語、冊子29〜32ページ〔PDF31〜34ページ〕