なぜ表現の形を変えると印象も変わる?

なぜ表現の形を変えると印象も変わる? 言葉の順序や繰り返し、たとえ方によって、読み手が注目するものや感じる調子が変わるからです。 身近な場面の短文を比べ、言葉と意味のつながりを確かめます。表と三つの練習を使い、自分の言葉で理由を説明する
こたえ
言葉の順序や繰り返し、たとえ方によって、読み手が注目するものや感じる調子が変わるからです。
表でみる
| 見るところ | 確かめること |
|---|---|
| 比喩 | 共通する特徴を重ねる |
| 反復 | 繰り返しで動きや思いを目立たせる |
| 語順・文末 | 順序や終わり方を比べる |
わけを考えよう
「風が吹く」を「風が庭を駆け抜ける」と書くと、風の動きを生き物のように感じられます。表現の技法は、伝える内容の見せ方を工夫する方法です。使った技法の名前だけを探すより、元の言い方と比べて、どんな様子が強く伝わるかを考えましょう。同じ出来事について二通りの表現を作ると、言葉の形と読み手の印象の関係を確かめられます。ここでは四つの方法を、短い自作の文で比べます。

比喩は、ある物事を別の物事になぞらえて表す方法です。「雲が綿のように浮かぶ」では、雲の柔らかそうな見た目を綿に重ねています。「ように」などを使ってたとえる方法と、直接別の物に重ねる方法があります。たとえる物を選ぶときは、色、形、動き、音などのどの共通点に注目したかを考えます。たとえられた物と、たとえに使った物を書き出し、共通する特徴を一つ説明すると、表現の効果を具体的に捉えられます。
反復は、同じ言葉や似た形を繰り返す方法です。「一歩、一歩、坂を上る」と書くと、一つずつ進む動きが感じられます。「坂を上る」と比べて、速さや苦労の印象が変わるかを考えましょう。繰り返す言葉の間に読点を置くと、声に出す際の間も作れます。反復を読むときは、何が繰り返されているかと、その繰り返しが何を目立たせるかを組にして説明します。同じ語でも、周りの文によって響きの役割が変わります。
倒置は、通常の語順と変えて、注目してほしい語や句を印象付ける方法です。「私はその音を覚えている」を「覚えている、私はその音を」とすると、覚えているという思いが先に出ます。元の語順に戻して読み、どの部分の感じが変わったかを比べましょう。順を変えることで、話し手の気持ちが強く感じられる場合もあります。倒置の効果を説明するときは、前に出た語、後ろに残った語の両方に目を向けると、文の組み立てが見えます。
体言止めは、名詞などの体言で文を終える方法です。「窓の外に春の光が差している」を「窓の外、春の光」とすると、景色の一部分が切り取られたように感じられます。文の続きを読み手が想像する余地も生まれます。説明する文章では動作や関係を詳しく示し、詩や描写では名詞で景色を印象付けるなど、目的に合わせて使い分けられます。文末を変える前と後を声に出して、余韻や調子を比べてみましょう。
自分の文章で技法を使うなら、まず伝えたい景色や気持ちを普通の一文で書きます。次に、その中で目立たせたいものを決め、一つの技法で書き換えます。読み手に二つを見せ、どんな場面を想像したかを尋ねると、工夫の効果を確かめられます。技法を増やすことより、選んだ方法が伝えたいことに合うかを考えることが大切です。景色、音、人物の動作など対象を変えて試すと、表現の選択肢を広げられます。
一つの景色に四つの技法を全て使う練習もできますが、仕上げには伝えたいことが最もよく伝わる表現を選びます。選ぶ理由を「繰り返しが歩く速さを感じさせる」のように書くと、技法と効果を組にできます。友達が感じた印象を聞き、自分の意図と照らして見直しましょう。
学習指導要領では「比喩,反復,倒置,体言止めなどの表現の技法」と示されています。ここで使う短文や場面は、この学習のために作った例です。
もっと知りたい人へ
表現の技法は、詩だけでなく日常の紹介文にも使えます。行事の紹介で動きをたとえたり、随筆で気持ちを表す語を繰り返したりすると、伝える内容の特色を見せられます。読むときは「この技法がある」で終えるより、その言葉がある場合と普通の言い方の場合を比べ、印象の違いを説明しましょう。本文の語と自分が感じた効果を結び付けることで、根拠を示した読み方につながります。
やってみよう
問題1
「池は鏡のようだ」は何を何にたとえている?
こたえを見る
池の水面を鏡にたとえている。
光を映す様子や平らな見た目などの共通点を考えます。
問題2
「待った、待った、夕方まで待った」の技法は?
こたえを見る
反復。
同じ語の繰り返しが待つ時間や思いを印象付けます。
問題3
「空に月が浮かぶ」を体言止めの形へ書き換えよう。
こたえを見る
例:空に浮かぶ月。
名詞「月」で文を終えて景色を印象付けます。
よくある質問
何から確かめればよい?
共通する特徴を重ねる
自分の説明をどう見直す?
使った言葉や本文の箇所を示し、そこから考えた理由を一文添えます。
出典
- 学習指導要領:第1学年 国語 知識及び技能(1)オ(「比喩,反復,倒置,体言止めなどの表現の技法」)
- 文部科学省 中学校学習指導要領(平成29年告示)第1学年国語、冊子29〜32ページ〔PDF31〜34ページ〕