三つの見本から、共通する作風をどう捉える?

太い線、大きな形、少ない色を使う三つの独自の見本を、言葉で比べます。共通する特徴と一つだけの違いを整理し、全体のイメージや作風を捉える方法を考えます。特徴から受けた印象を示すオリジナル問題付きです。
こたえ
形、線、色、配置などの特徴を比べ、作品全体に共通するまとまりを言葉にします。一つの細部だけで決めず、全体の印象とその根拠を往復して考えましょう。
表でみる
| 独自の見本 | 共通している特徴 | 異なる特徴 |
|---|---|---|
| 丸い山の絵 | 太い線・大きな形・二色 | 丸みが多い |
| 四角い建物の絵 | 太い線・大きな形・二色 | 角のある形が多い |
| 長い葉の絵 | 太い線・大きな形・二色 | 斜めの形が多い |
わけを考えよう
ここでは、このページのために考えた三つの架空の見本を比べます。一つ目は丸い山、二つ目は四角い建物、三つ目は長い葉を描いた絵です。どれも太い線、大きな形、二色だけの構成という設定です。線や形を比べるために、このページ用に新しく考えた独自の見本です。題材は違っても、造形的な特徴に共通するところがあります。その共通点から、全体にどんなまとまりや印象を感じるか考えましょう。言葉の説明を小さな独自の見取り図にして比較することもできます。

最初は、各見本の特徴を一つずつ書きます。「山の形に丸みが多い」「建物には角がある」「葉が斜めに伸びる」といった違いです。次に、線の太さ、形の大きさ、色の数など、同じ視点で三つを見直します。題材の名前だけで分けていたときには見えなかった共通点が見つかります。形や色を視点に全体を捉えるとは、部分の特徴を集めながら、その作品らしいまとまりを考えることです。特徴の単なる一覧から、全体の印象へ進みます。
この例では、「大きな形が太い線で区切られ、少ない色でまとまっている」と説明できます。そこから「力強い」「はっきりして見える」と感じる人もいるでしょう。一方で、色の組合せや余白から別の印象を受ける人もいます。全体のイメージを言葉にするときは、どの特徴が根拠なのかを示します。「力強い」とだけ書くより、「大きな形と太い輪郭から力強く感じる」とすれば、友達も同じ部分を確かめながら話し合えます。
作風は、作品に見られる表現の特徴やまとまりとして考えられます。この三つの見本なら、題材が違っても共通する太い線と少ない色に注目できます。この架空例では、示した三つの見本の範囲で共通点を整理し、作風を捉える視点を学びます。実際の作者の作風を考える場合にも、見た作品の範囲を示して比べることが大切です。複数の作品の特徴を根拠に、共通するところと違うところを比べて全体のイメージを捉えます。
違いを残すことも重要です。共通する線の使い方があっても、丸い山と角のある建物は別の形の感じをもっています。共通する作風を見つけながら、作品ごとの印象の違いも具体的に述べられます。共通する特徴の中で、題材や配置によって何が変わるかを比べます。全体のまとまりを捉えることと、個々の作品のよさを見つけることは両立できます。似ているところと違うところを二列に書くと、両方に目を向けやすくなります。
全体と部分を往復するには、少し離れてまとまりを見た後、気になる線や形を近くで確かめます。見本を小さく描いたときにも残る特徴は何か、大きく描くと分かる細部は何かを比べてもよいでしょう。その結果を最初の全体の印象と照らし合わせます。新しく気付いた特徴があれば、イメージの言葉を変えてよいでしょう。鑑賞の言葉は、観察を進める中で具体的になっていきます。決めた印象を固定するより、特徴に戻って確かめる姿勢が役立ちます。
もっと知りたい人へ
自分の表現でも、全体のイメージを構想の目安にできます。例えば「すっきりしたまとまり」を目指すなら、形を大きくする案、色の数を絞る案、余白を広くする案などを試します。各工夫の組合せと、実際に見たときの印象を比べて、自分の表現に合う方法を選びます。小さな見本を比べ、どの組合せが自分の意図に近いか確かめます。個別の形を直す際にも、全体へ戻って見れば、部分の工夫がどう働いたか考えられます。
三つの見本について、友達と別々に共通点を探してみましょう。一人は線の太さ、一人は色の数、一人は形の大きさへ注目するかもしれません。出た特徴をまとめ、全体のイメージを表す短い文を共同で考えます。感想を無理に一つへそろえず、根拠となる特徴を共有することを大切にします。「共通点は分かったが、丸い山の絵だけは穏やかにも感じた」と述べられれば、まとまりと違いの両方を見ています。
文部科学省の中学校学習指導要領解説(美術編)は、第1学年の造形的な特徴と全体のイメージを扱っています。このページでは、その視点を上の架空の例で考えました。
やってみよう
問題1
三つの見本に共通する特徴を二つ挙げよう。
こたえを見る
太い線、大きな形、二色のうち二つ。
題材ではなく造形的な視点で共通点を見つけます。
問題2
「力強い」と感じた理由を設定から説明してみよう。
こたえを見る
例:大きな形が太い線で区切られているから。
全体のイメージと根拠となる特徴を結び付けます。
問題3
共通点があるなら、三つの違いを省いてよい?
こたえを見る
違いも残し、それぞれの形や配置による印象を考える。
全体のまとまりと個々のよさを両方捉えます。
よくある質問
作風は題材の名前なの?
題材とともに、形や線、色、構成などに見られる表現の特徴やまとまりを考えます。
全体だけ見ればよい?
部分の特徴を確かめ、全体の印象へ戻ると根拠が具体的になります。両方を往復しましょう。
出典
- 学習指導要領:第1学年 共通事項 (1)イ(「全体のイメージや作風」)
- 文部科学省・中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 美術編、付録3 第1学年2内容(154–155ページ)