九十九
百 人 一 首 ・ 九 十 九 番 後鳥羽院
人もをし 人もうらめし あぢきなく
世を思ふ故に もの思ふ身はひともをし ひともうらめし あぢきなく
よをおもふゆゑに ものおもふみは
いまのことば
人がいとしくもあり、人が恨めしくもある。
思うにまかせぬ世の中を
思うがゆえに、物思いに沈む我が身よ。
ことばの景色
相反する二つの気持ちを、並べたまま置いた歌です。「をし(いとしい)」と「うらめし」。どちらかに決めない。決められないことを、そのまま書いた。十番の「行くも帰るも」も反対のことばの組でした。
作者の後鳥羽院は第八十二代の天皇。『新古今和歌集』の編纂を命じた方でもあります。九十七番定家や九十八番家隆を集めて歌集を作らせた——百人一首の終わり近くは、同じ仕事をした人たちが並んでいます。
のちに後鳥羽院は隠岐へ移ることになります。十一番小野篁も隠岐へ渡った人でした。三百年を隔てて、同じ島が札の裏でつながっています。
考えてみよう
- 問一反対の気持ちを同時に持った経験を書いてみましょう。
- 問二十番と読み比べて、反対語の使い方を並べてみましょう。
- 問三決められないことを、決めずに書く練習をしてみましょう。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——
百人一首の九十九番と百番は、親子です——
後鳥羽院と
順徳院。
一番の天智天皇・二番の持統天皇も親子でした。
百枚の
札は、
親子で
始まり
親子で
終わります。