三十八
東 海 道 ・ 岡 部 宿
『伊勢物語』にも登場する宇津の山道。蔦の茂る細道が、千年歌に詠まれてきました。
いまのことば
岡部は東海道の二十一番目の宿場。
広重の題は「宇津之山」。
物語の中の山道
宇津の山は、『伊勢物語』に出てくる有名な山道です。「蔦楓は茂り、もの心細く」と書かれた細道。平安の物語の舞台を、江戸の旅人が実際に歩いた。
物語を知っているかどうかで、同じ道の見え方が変わる——由比で見た薩埵峠の富士も同じでした。国語の間と地理の間は、東海道の上で何度も交わります。
岡部は宇津の山の西側のふもと。府中から鞠子を経て、この峠道を越える。鞠子のとろろ汁は、峠の前の腹ごしらえだったのかもしれません。日坂の蕨餅、大津の走井餅と同じ理屈です。
考えてみよう
- 問一物語の舞台になった場所を訪ねたことはありますか。
- 問二同じ場所でも知識で見え方が変わる例を挙げてみましょう。
- 問三峠の前の宿場の名物を、この連載から集めてみましょう。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——
宇津の谷には、明治に造られたトンネルも残っています。
日坂の
中山新道と
同じで、
難所は時代ごとに新しい道で越えられてきました。