通学路のベンチに、美術の働きをどう見つける?

通学路にある架空のベンチと木の影を例に、形、色、材料のよさを探します。座る、集まる、眺める場面から、生活を美しく豊かにする美術の働きを考え、自然物と人工物への見方をオリジナル問題で広げます。
こたえ
ベンチや周りの自然の形、色、材料を観察し、人が過ごす場面と結び付けて考えます。使う働きに加え、眺めたり集まったりする経験から美術の働きを見つけられます。
表でみる
| 見つける対象 | 造形的な特徴 | 生活との関係を考える例 |
|---|---|---|
| ベンチ | 座面の曲線と木の色 | 休む場所の印象 |
| 木の影 | 葉の形が重なる模様 | 時間で変わる景色 |
| 周囲の道 | ベンチと道の位置関係 | 集まる場所のまとまり |
わけを考えよう
ここでは、通学路の小さな広場に木製のベンチがあり、その上に葉の影が落ちるという架空の場面を考えます。ベンチ、木、道の関係を学ぶために、このページ用に考えた場面です。ベンチの座面は緩い曲線、周りには木と舗装された道があるという設定です。普段なら通り過ぎる場所を、形、色、材料の視点で見てみます。座れるという働きに加え、その場がどう見え、どんな時間を過ごせそうかを考えると、美術の働きを探せます。

人工物であるベンチには、木の色、表面の模様、部材の並び方、曲線と直線の組合せなどがあります。「木だから落ち着く」と一律に決める代わりに、「この色が周りの木と近く感じられる」「座面の曲線が道の曲がり方とつながって見える」と具体的に述べます。手で触れる活動は、触ってよい場所か確かめ、授業の指示に従う設定にします。見るだけでも、形や色の関係から造形的なよさを考えることができます。
自然物にも目を向けましょう。葉の形がつくる影、枝の伸びる向き、石の表面など、身の回りにはさまざまな特徴があります。葉の影は天候や時間、木と光の位置で変わることがあります。自然がつくる形と人が作る作品を区別し、それぞれの造形的なよさを見ていきます。自然の造形的な美しさを感じ取り、ベンチの形や配置と一緒に見たときの景色を考えます。自然物と人工物の特徴を見比べると、生活の場を豊かにする関係を探せます。
生活とのつながりは、実際の行動を思い浮かべると具体的になります。少し休む、友達と話す、景色を眺める、待ち合わせるといった場面です。ある人は葉の影を眺めることを楽しみ、別の人はベンチの向きが会話のしやすさに関わると考えるかもしれません。豊かさの感じ方には、使う人や過ごす場面ごとの違いがあります。誰にとって、どんな場面で、どの特徴が関係しそうかを述べると、美術の働きを自分の生活と結び付けられます。
もし同じベンチが広場の中央にある案と、道の端に沿って置かれる案を比べたら、周りとの関係が変わります。このページでは、自分で描く架空の見取り図を使って、ベンチの位置の案を比べます。座ったときに見える景色や、歩く人との関係を想像します。配置の違いが、場のまとまりや過ごし方にどう関わるかを話し合います。美術の働きは表面の模様とともに、物と空間との関係にも見つけられるという視点が生まれます。
鑑賞メモは、「見つけた特徴」「そこから感じたこと」「生活との関係」の三つに分けます。「葉の影が座面に重なる」「細かな形が変わって面白い」「休むときに景色を見る楽しみがある」という記録です。公共の場を観察する場合は、物や形に注目し、その特徴だけを鑑賞メモへ記録できます。自分の気付きを友達と比べ、別の働きを見つけたらメモへ加えましょう。身近な場所を見直すことで、美術を生活の中で考える範囲が広がります。
もっと知りたい人へ
教室でも、掲示物、机の並び、窓から入る光、道具の形などを観察できます。授業用の架空の教室図を使い、何が場の印象に関わるか話してみましょう。物を増やす案とともに、余白を広くする案、形をそろえて並べる案も考えられます。生活の豊かさを、身近な形のよさや過ごす時間との関係から考えられます。どの特徴がどんな過ごし方に関わるかを具体的に考えることが、この鑑賞の手掛かりです。
観察した場所を作り直す構想へ進む場合も、まず今あるよさを探します。日陰に模様をつくる葉、周りに合うベンチの色など、残したい特徴があるかもしれません。その上で、使う人や管理する人の条件を考えます。このページでは、場の印象や生活との関係を想像し、美術の働きへの見方を広げます。「形を変えたい」と感じたときも、どの生活場面を豊かにしたいかまで言葉にしてみると、構想の出発点が明確になります。
文部科学省の中学校学習指導要領解説(美術編)は、第1学年の生活を豊かにする美術の働きを扱っています。このページでは、その視点を上の架空の例で考えました。
やってみよう
問題1
木の影を見るとき、造形的な特徴を一つ挙げよう。
こたえを見る
例:葉の形が重なってできる模様。
身近な自然物にも形や光の視点を向けます。
問題2
「この場は豊かだ」を具体的にするには?
こたえを見る
誰がどんな時間を過ごすとき、どの特徴を楽しめそうか説明する。
生活場面と造形的な特徴を結び付けます。
問題3
ベンチの位置の二案を学習で比べるには?
こたえを見る
架空の見取り図で、見える景色や人との位置関係を比較する。
公共物を実際に動かさず、空間との関係を考えられます。
よくある質問
自然物も美術作品なの?
自然物と人が作る作品は区別しつつ、自然の造形的な美しさを生活の場との関係で考えられます。
普段の道でも学べる?
形や色、材料に注目すると、新しいよさを見つけられます。観察できる場所と授業の条件を確かめましょう。
出典
- 学習指導要領:第1学年 B鑑賞 (1)イ(ア)(「生活を美しく豊かにする美術の働き」)
- 文部科学省・中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 美術編、付録3 第1学年2内容(154–155ページ)