架空の絵の「静かさ」は、どこから感じる?

人物を描かない架空の絵を言葉で示し、静かに感じる理由を形、色、配置から探します。見える事実と作者の意図についての推測を分け、友達の見方も聞きながら、造形的なよさや表現の工夫を考える方法を学びます。
こたえ
余白、形の向き、色の違いなど、見える特徴を根拠に静かさの理由を考えます。作者の意図は推測として示し、ほかの見方と比べて感じ方を広げましょう。
表でみる
| 架空の絵の特徴 | 考えられる感じ方 | 確かめる視点 |
|---|---|---|
| 一つの窓と広い余白 | 静かで落ち着く | 形がある場所と空いた場所 |
| 近い明るさの二色 | 穏やかに感じる | 色の違いの大きさ |
| 窓の線が水平に続く | 動きが小さく感じる | 線の向きと繰り返し |
わけを考えよう
ここでは、このページのために新しく考えた架空の絵を、言葉の説明から見ていきます。画面には横長の窓が一つあり、その周りには広い余白があります。背景は淡い灰色、窓の向こうはそれより少し明るい色、窓と余白を中心にした構成という設定です。この説明から小さな見取り図を自分で描いてもよいでしょう。「静かに感じる」としたら、どの特徴からそう思ったかを探します。まず見えることを確かめるのが出発点です。

観察した事実と、そこから感じたことを分けて書いてみましょう。「窓の周りに広い余白がある」は絵の設定として確認できる特徴です。「空いた場所から寂しさを感じる」はその特徴から生まれた一つの感じ方です。さらに「作者は寂しさを表したかった」は作者の意図についての推測になります。この架空の絵では、示された形や色から意図を考え、自分の推測として言葉にします。どの段階の言葉かを整理すると、鑑賞の話が具体的になります。
静かさの根拠を考えるなら、形の数や大きさ、線の向き、色の違い、余白の広がりなどを見ます。「窓が一つで、周りに大きな空いた部分があるから、動きが少なく感じた」と説明できます。別の人は「窓の向こうが明るくて、これから何か始まる感じがした」と受け取るかもしれません。どちらの説明にも画面の特徴を示すことができます。同じ作品で違う感じ方が出ることは、自分だけでは気付かなかった部分を見直す機会になります。
想像したことを話すときは、根拠を一つ加えます。「誰かを待つ場所に思える。窓が目立ち、手前の余白が広いから」という言い方です。物語を考えることも鑑賞の楽しみですが、どこからその物語が生まれたかを確かめると、表現の工夫へ目を向けられます。絵の設定として示されたことと、自分が想像した人物や出来事を、別々の欄へ書きましょう。見えることと想像したことを区別した上で、両方を大切にできます。
比較のために、窓を三つに増やした見取り図、背景と窓の色の違いを大きくした見取り図を作ってみます。これは、架空の設定を使って自分で新しく考える、独自の学習用見本です。どこを変えると印象が変わったか話し合います。窓の数とともに、配置や大きさも比べ、印象との関係を具体的に考えます。変える前後を比べることで、元の絵のどの工夫が感じ方に関わったか見つけやすくなります。
友達の話を聞いた後は、自分の鑑賞メモへ新しい視点を加えます。最初は色だけを見ていたのに、余白にも気付いたなら、その気付きを残します。自分の感想を大切にしつつ、相手から知った見方を記録に加えられます。「私は静かさを感じたが、窓の明るさから期待を感じる見方も分かった」と書けます。作者の心情や意図を考える学習では、表現の工夫を根拠に、可能性を丁寧に検討します。感想を広げることと、作者について確かな事実を述べることを分けましょう。
もっと知りたい人へ
実際の作品を鑑賞するとき、作品の題名、制作時期、作者自身の説明などが読める場合があります。まず作品から感じたことを記録し、その後で確かな資料を読んで、見方がどう変わったか考える方法もあります。資料に書かれた説明と、自分が作品から感じたことは役割が違います。このページの架空例では、設定から考えた意図を、自分の推測であることが分かるように示します。根拠の種類を分ける習慣が、鑑賞を支えます。
言葉にしにくいよさは、「好きだから」で終えず、気になる場所を指して比べてみましょう。線の端、色の境目、形が集まる部分など、一か所から話し始められます。小さな特徴を見た後は、画面全体に戻って、その部分がどのように働くか考えます。細部の発見と全体の印象を往復すると、自分の見方が具体的になります。鑑賞では、造形的なよさと表現の工夫を根拠に、作者の心情や意図への見方を広げていきます。
文部科学省の中学校学習指導要領解説(美術編)は、第1学年の造形的なよさと表現の意図を扱っています。このページでは、その視点を上の架空の例で考えました。
やってみよう
問題1
「余白が広い」と「作者は寂しかった」は、同じ種類の言葉?
こたえを見る
前者は設定で確認できる特徴、後者は作者についての推測。
観察と推測を分け、推測には根拠と留保を添えます。
問題2
静かに感じた理由を、設定の特徴一つで説明してみよう。
こたえを見る
例:窓が一つで周りの余白が広く、動きが少なく感じた。
感じ方を形や配置の具体的な特徴に結び付けています。
問題3
友達が期待を感じたと言った。見方を広げる質問は?
こたえを見る
どの部分から期待を感じたのか聞く。
違う感想を根拠とともに知ると、新しい特徴に気付けます。
よくある質問
友達と感想が違ってよい?
違う感じ方も、作品の特徴を根拠に話し合うことで見方を広げる材料になります。
作者の気持ちは決められる?
作品から考える場合は推測として示します。確かな作者の説明がある場合も、根拠の種類を分けて扱いましょう。
出典
- 学習指導要領:第1学年 B鑑賞 (1)ア(ア)(「作者の心情や表現の意図と工夫」)
- 文部科学省・中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 美術編、付録3 第1学年2内容(154–155ページ)