水差しの美しさは、使う場面とどう結び付く?

水差しの二つの架空の見本を比べ、注ぐ、持つ、置くという働きと見た目を結び付けます。形や材料から感じた美しさを、使う目的と条件を手掛かりに考え、作者の表現の意図や工夫への見方を広げます。
こたえ
持つ、注ぐ、置く場面を思い浮かべ、形や材料が機能と見た目の両方にどう働くか考えます。使う目的に照らして比べると、調和のとれた美しさを具体的に説明できます。
表でみる
| 見る部分 | 機能について考えること | 美しさについて考えること |
|---|---|---|
| 取っ手 | 持つ位置や指の空間 | 胴との形のつながり |
| 注ぎ口 | 水が向かう方向 | 全体の線の流れ |
| 底と胴 | 置いたときの形 | 量や割合のまとまり |
わけを考えよう
ここでは、この学習のために新しく考えた二つの水差しを、学習用の架空の見本として考えます。見本甲は丸い胴と大きな取っ手、見本乙は細長い胴と小さな取っ手をもつという設定です。どちらも材料の表面を生かした簡素な見た目という設定です。見たときに感じる美しさに加え、何のために使う物かを思い浮かべます。水を持って移動し、カップへ注ぎ、机へ置くという場面を順に考えると、形を見るための視点が増えていきます。

取っ手に注目したら、胴からどれだけ離れているか、どんな線でつながっているかを見ます。指を入れる空間は持ち方に関係し、取っ手の曲線は全体の印象にも関係します。見本甲の大きな取っ手を「ゆったりして見える」と感じる人もいるでしょう。実際の持ちやすさを考えるときは、実物での確認へ視点を進めます。重さ、材料、手の大きさなども関係するため、この鑑賞では形から考えられることと、実物で確かめたいことを区別します。
注ぎ口を見るときは、向き、長さ、胴とのつながりを観察します。「注ぎ口から取っ手まで同じ曲線が続いて見えるので、まとまりを感じる」といった説明ができます。注ぐ方向を示す形が、そのまま見た目の流れをつくる場合があります。同じ部分が、機能と美しさの両方に関わることがあります。一つの形が使う場面と全体の美しさの両方にどう関わるかを考えると、作品の工夫が具体的に見えてきます。
水差しを置く場面も思い浮かべます。底の広さ、胴のふくらみ、高さとの割合は、見える形の特徴です。低い胴に落ち着いた印象を感じたり、縦に伸びる胴にすっきりした印象を感じたりすることがあります。一方、実際の倒れにくさには水の量や重さの分布なども関係します。形の印象は鑑賞の言葉で示し、倒れにくさなどの性能は実際の条件で確かめたい点へ分けます。鑑賞で見つけた疑問は、さらに調べる視点になります。
作者の意図を考えるときは、「大きな取っ手から、持つ動作を大切にした可能性が考えられる」といった言葉にします。この架空例では、観察した形から作者の意図を考え、自分の推測として示します。「手に触れる部分を丸くしようとしたのかもしれない」と考えたら、どの特徴が手掛かりかを示します。違う人が別の工夫を見つけた場合も、使う目的と造形的な特徴を照らし合わせて話し合うと、見方が広がります。
二つの見本を比べるときは、使う場面をそろえると役立ちます。机の上で少量ずつ注ぐ場合と、大きな容器へ水を運ぶ場合では、注目したい条件が変わります。見た目だけで一方を優れた物と決めず、「この場面ではどの工夫に魅力を感じるか」と考えます。全体の形が好きという感想から始めても、取っ手、注ぎ口、表面の質感へ目を向けると、機能との調和について自分の言葉で説明できるようになります。
もっと知りたい人へ
材料の見え方も鑑賞の手掛かりです。同じ形でも、表面が光を反射する見本と、光沢が少ない見本では印象が変わるかもしれません。ここでは架空の材料見本を考え、同じ輪郭の絵に異なる表面の表し方を加えて比較できます。素材の種類は確かな資料で確認し、観察では表面に見える特徴を言葉にします。まず「明るい反射がある」「表面の細かな跡が見える」など、確認できる特徴を述べ、そこから感じたよさを考えましょう。
鑑賞メモには、見た特徴、使う場面との関係、感じた美しさ、作者の工夫についての考えを分けて書きます。「取っ手が胴から離れている」「指を入れる動作を考えられる」「曲線のつながりにまとまりを感じる」という順です。このように整理すると、美しいという感想に根拠を添えられます。使う物を作るときの構想にも、鑑賞で見つけた視点を生かせます。自分の作品でどの部分を工夫するか考える材料になるからです。
文部科学省の中学校学習指導要領解説(美術編)は、第1学年の目的や機能と美しさの調和を扱っています。このページでは、その視点を上の架空の例で考えました。
やってみよう
問題1
取っ手を見るとき、機能と美しさの視点を一つずつ挙げよう。
こたえを見る
例:指を入れる空間と、胴につながる曲線。
同じ部分を使う動作と造形的なまとまりの両面から見ます。
問題2
形の説明だけで、倒れにくさを確定できる?
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実際の重さや水の量なども確かめる必要がある。
形の印象と性能の確認を区別します。
問題3
作者の説明がない架空例で、意図をどう述べる?
こたえを見る
形を根拠に「持つ動作を大切にした可能性がある」など推測として述べる。
意図を考える際にも、根拠と確かさを示します。
よくある質問
使いやすい物は全て美しい?
美しさの感じ方はさまざまです。使う目的と造形的な工夫の関係を具体的に考えましょう。
実物を使わずに鑑賞できる?
形から考えられることを整理できます。実際の性能については、別に確認が必要な点を残しましょう。
出典
- 学習指導要領:第1学年 B鑑賞 (1)ア(イ)(「目的や機能との調和」)
- 文部科学省・中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 美術編、付録3 第1学年2内容(154–155ページ)