私はイギリス、そしてアメリカへの留学経験があるのですが、この両方の土地で経験した出来事があります。それは何かと言いますと、人種差別です。

サマースクールでのロンドンフィールドトリップ

世界各国から集まったメンバーで行動

この話は、イギリスのサマースクールに通っていた時に、その学校のフィールドトリップ(遠足のようなもの)で、ロンドンに出かけた時の出来事です。私が通っていた学校は、ロンドンまで車で1時間程度の場所にありました。バスに乗り込みいざ出発です。

4〜5名のチームでロンドン市内へ

この日は4〜5名のチームを組んで行動したのですが、サマースクールには色んな国から参加してきた生徒がいましたので、私のチームには、日本人の私とスペイン人のクラスメート、そしてあとの数名はどこの国からきたか記憶が定かではありませんが、数名の仲間と行動していました。この日は幸か不幸か、2つのショッキングな出来事を経験することになります。

1つ目の出来事── ゴミを投げつけられる

裏道で遭遇したイギリス人少年たち

チームの仲間とロンドン市内を歩き、目的地に向かう際に裏道に入った時でした。恐らく中高生くらいのイギリス人でしょうか。20〜30メートルほど向こうから、こちらをじろじろ見ています。我々が明らかにイギリス人ではないということは、外国人である我々はよく理解していました。

突然飛んできたゴミ

その行動とは、彼らは、持っていたゴミを我々に投げつけてきたのです。私たちは言葉を失いました。え?なんで?ゴミを投げてきた彼らは、我々を小馬鹿にするような振る舞いと、威嚇するような声を発していました。外国人で形成された私たちのチームは、その時共通の認識を持ちました。無視しよう、と。当然のことながら、我々は外国人の立場に立つということがどういう意味であるかは、イギリスという海外で生活することで、学んでいたのです。

2つ目の出来事── 洋服店で万引きを疑われる

店を出ようとしたら呼び止められた

ロンドン市内を巡る中で、ある洋服を販売している大きなお店に入りました。我々は一通り店内を見て回り、店を出ることにしました。その時に突如、驚きの出来事が起こりました。そこの店員なのか店長なのかわからないのですが、大柄な男性が我々を制止したのです。

別室で取り調べ、泣きじゃくる友人

私たちはその男性に別室へ連れていかれ、服を盗んだのではないかと疑いをかけられたのです。もちろん我々が盗むわけがありません。特に厳しく取り調べを受けたスペイン人の友人は、あまりの恐怖に泣きじゃくりました。結果、カバンの中をチェックされ、何も見つからないのがわかると、我々は解放されたのです。

「先進国」のイメージが崩れた

なぜ我々が選ばれたのか

なぜ我々に対しそのようなことをしたのか、本当に理解できませんでした。もしやそれは、我々が外国人だからそういうことをしたのだろうか?まだ学生の我々は、イギリスという国に対し、先進国であるというイメージからかけ離れた、まったく真逆のイメージを植え付けられた出来事になったことはいうまでもありません。

海外では「アジア人」として括られる

一歩海外に出ると、そこはもはや日本ではありません。海外に出ると、日本という国は、先進国のイメージがあったとしても、所詮小さな国の一つであり、街を歩くと、中国人なのか、日本人なのか、韓国人なのか、見分けもつかない人たちばかりで、アジア人で括られることはいまだにあるのです。

日本でも同じことが起こっている

日本に帰国して気づいた真逆の現実

当時は、なぜこのような目に合うんだ、程度の考えしか頭に浮かんではこなかったのが事実です。ただ日本へ帰国後、これとまったく真逆な出来事が、日本でも実際に行われている事実も、認識することになります。

海外からの移住者の子どもたちのいじめ

今でこそ国際結婚も増えましたし、私の知り合いで国際結婚をしている人はたくさんいます。しかし昔は特に地方ではそれは珍しく、また、海外から家族で移住してくる家庭のお子さんなど、いじめを経験している友達が実際に存在していたのです。その子の見かけが違っても、人種が違っても、私の中ではまったく普通に接する友達であったとしても、そうではない日本人も存在するという事実です。

「外に出ると、中が見える」貴重な学び

16歳で得た価値観の転換

このような、外に一歩出ると、中の様子がよく見える、という経験や学びというのは、単なる授業の学びとは違い、人間の価値観を大きく変えるきっかけとなりうるものです。さらには、日本から飛び出さず、国内にい続けたらなかなか経験できるものではない、そんな貴重な学びを、若干16歳の時に経験していたんだと、大人になって初めて気づいたのでした。

すべて両親のおかげ

毎度のことですが、これもすべて両親のおかげで経験できたこと。感謝の一言です。

「すべての人が自分の個性を活かせる社会をつくる」── 個性を活かす社会には、互いの違いを尊重する文化が必要です。差別を体験したからこそ、士心塾では「一人ひとりが違う」ことを徹底的に肯定する場でありたいと思っています。

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