アメリカに行って初めて買った車がトヨタセリカ。そして2台目がホンダアコード。このアコードと悲しい別れを告げた後、次に私の愛車となったのが、ホンダシビックです。

3台目のシビック── 15万円という安さ

アメリカで珍しい安価な中古車

この車はハッチバックタイプで、当時は非常に多くの台数が走っていました。実はこの車で次々と驚くことが起こります。まず値段が15万円と、アメリカで購入する中古車価格レベルでは、なかなか買えない値段。安すぎる値段。非常に安価に手に入れることができた車でした。

安いには訳がある

なぜそんなに安価で購入できたのか?そこにはしっかりと訳ありな事情があったのです。

訳ありポイント①── マニュアル車

これは想定の範囲内

まずマニュアル車だったこと。これは想定の範囲内。セリカがマニュアル車でしたので、全く問題ございません。マニュアル車の運転には慣れていました。

訳ありポイント②── パワーステアリングなしの「重ステ」

試乗時の発見

試乗した際に、右手でシフトを変えながら左手でハンドルを持ち回そうとすると── ん??簡単にハンドルが回らない。そうなんです。何とパワーステアリングではなかったのです。

「重ステ」という死語

俗に言う「重ステ」。今は死語となっているようです。重いステアリングのことを「重ステ」と言っていたわけです。現在の車は、ハンドルが簡単に回りますよね?それはパワーステアリングが当たり前についているから。当時のハンドルは本当に重かったわけです。片手で回すのも本当に簡単にいかないくらいです。

訳ありポイント③── 右サイドミラーがない

これは想定外

実はこれだけではありません。こちらも試乗した時に気づいたのですが、右のサイドミラーがない!これはミラーが取れたのではなく、ミラーがない仕様だったのです。これ信じられますか?嘘でも何でもなく実話です。

米国仕様の特殊性

当時乗っていた米国仕様のこのモデルのシビックは、右側のサイドミラーがなかったのです。アメリカは左ハンドルで右側通行ですから、運転席は左。日本では運転席の反対側=助手席側のミラーが省かれていたわけです。当時のアメリカではこういう仕様が許容されていたのです。

細川元首相の秘書がビックリ

ケンタッキーで日米交流イベント

こんなエピソードがあります。私がいたケンタッキー州に細川元首相が日米の交流イベントで招待されいらっしゃいました。この時に、細川元首相の秘書の方に、買いたいものがあるのということで、お店に連れて行ってもらえないかと頼まれました。

出動したのがミラーなしシビック号

その時出動したのが、私のミラーなしシビック号でした。秘書の方2名いらっしゃいましたが、後部座席に座ってもらったところ、「ミラーがない!!」と言われたことは今でも忘れません。当然です。ミラーがないのですから。

右ミラーがない、重ステ、マニュアル── 三重苦の運転

縦列駐車のプロに

右ミラーがない状況で、左手で重ステを回し、右手でシフトを変えながら、右寄せで縦列駐車をする── これは数え切れないくらいやりました。おかげさまで縦列駐車は得意です。日本に戻ってからも、どんな狭い駐車場でも縦列駐車に困ることはありません。

ジャンクヤードで右ミラーを購入

さすがに私も右ミラーが欲しくなり、右ミラーを探すことに。そこで辿り着いたのが、ジャンクヤードという事故車などがたくさん集められ、好きなパーツを購入できる場所でした。事故車や廃車の車が積み上がっているような場所です。

自分で装着して「普通の車」に

そのジャンクヤードで、私が乗っていたシビックと同モデルの事故車を発見し、右ミラーだけを購入して、自ら装着!これでやっと左右のミラーが揃い、普通の車の見栄えになったのでした。

「困難な道具」を使いこなす力

制約の中での創意工夫

マニュアル・重ステ・ミラーなしという三重苦の車を、文句を言わずに乗りこなす。さらにジャンクヤードで部品を探して自分で装着する。「与えられた条件で最善を尽くす」── これは留学時代に何度も鍛えられた能力です。

「これではダメだ」ではなく「これでどうやるか」

もし当時の私が「重ステは無理」「ミラーなしは無理」と諦めていたら、車を持てなかったかもしれません。学ぶ機会、行動範囲、すべてが制限されたでしょう。「使える条件で何ができるか」を考える発想こそが、人生を切り拓きます。

続編へ── このシビックにはまだ物語が

「別のものすごいストーリー」

実はこのシビック号は、別のものすごいストーリーがあるのです。これはまた次回。「交通事故衝突、カーチェイス、そして嵐の中の示談交渉」へと続きます。

「すべての人が自分の個性を活かせる社会をつくる」── 個性を活かす力には、「制約の中で工夫する力」も含まれます。完璧な条件を待つのではなく、今ある条件で動き出す。シビック1号は、それを私に教えてくれました。

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