皆さん。これから話すことは、嘘のような本当の話です。
フライトトレーニングへ向かう山道
三台目シビック号での通学
あれは単発機のライセンスを取るための、フライトトレーニングのために空港に向かっていた時に起こった出来事です。その時私は、三台目 ホンダ シビック号に乗っていました。蛇のようなくねくねした山道を走っていたその時、事件は起こりました。
対向車線から突然
対向車線の曲がりくねった道の死角から、物凄いスピードを出した車が車線をはみ出し、私の車の左側のヘッドライトあたりへ突進してきたのです。アメリカは右側車線を走りますので、左ハンドルの運転席の目の前に衝突してきた感じです。
衝突、そして逃走
瞬間的に状況把握できない
一瞬何が起きたのかわからない状況だったのですが、気づいたときは、衝突してきた車は既に私の車の後方に。なんと、そのまま逃走しはじめたのです。
山道でカーチェイス
狭い道路でどうやってUターンしたのか記憶が曖昧ですが、とにかく山道のカーチェイス。数分走って、相手も観念したのでしょうか。車を止めたのです。
人っ子一人いない山奥で対峙
降りてきた20代前半の長身アメリカ人
無意識に追いかけていた私。場所は山奥。人っ子一人いません。運転席から人が降りてきます。めちゃくちゃ背が高いアメリカ人が降りてきたのです。20代前半、同世代の若い男でした。
「なめられたら終わり」と決意
私は小さい日本人。でも怯むわけにはいきません。なめられたら終わりです。私から、「なんで逃げるんだ!どうしてくれるんだ!」とまくしたてます。もちろん英語です。今思うと、もし拳銃などを持っていたらアウトだったなと思ったりもします。でもそんなことお構いなしです。
奇跡の電話付きの車
通りかかった一台の車
とは言え、二人きり。当時は携帯もまだ普及していません。そんな時奇跡が起きます。一台の車が通りかかったので、制止して止まってもらい、助けを求めました。すると驚くことに、その車には電話が付いていたのです!
奇跡的に警察に通報できた
電話が付いている車に出会うなんて、本当に奇跡でした。運転手の方にすぐに警察に連絡を入れてもらうことができ、その場は助かったのです。連絡先を交換し、今後のやり取りを行っていくことで合意し、一旦別れることになりました。
翌日、加害者が再び事故を起こした
父親からの衝撃の連絡
後日加害者の父親から連絡が入りました。そして衝撃を受けます。実は事故を起こした本人、翌日に再び車の衝突事故を起こし、車は廃車になってしまったとのことでした。
保険に入っていなかった
しかも保険に入っていなかったと。なので、修理代は満額払えるかわからない。示談をお願いしたいとのことでした。
場所を指定しての示談交渉
「会ったら何をされるかわからない」
こちらも学生です。修理代払えないなんてありえません。ただ示談とか言いつつも、実際に会った時に何をされるかわかりません。そこで示談交渉を行う場所をこちらで指定しました。
空港の駐車場+仲間の同席
場所は私がフライトトレーニングで使っていた空港の駐車場。見通しの良い広いスペースがある場所を選んだのです。併せて、空港には親しい学生仲間やフライトインストラクターの先輩たちもいます。そうです。示談交渉に一緒に同席してもらうようにお願いしたのでした。
嵐の中での示談
天気は雨が激しく吹きつける嵐
いざ示談交渉の日が来ました。天気は雨が激しく吹きつける嵐。相手は事故を起こした本人、彼の父親、母親の3名、一方でこちらは私と2名の大学4年生インストラクター計3名。他の学生仲間達は、建物の中から窓越しにこちらを見つつ、何かあったら駆けつける準備をしています。
支払えるのは今ここにある現金だけ
交渉が始まりました。相手から、「2度の立て続けに起こした事故により、また、保険も適用できないことにより、支払うことができるのは、今ここにある現金だけである」という話がありました。
ポケットのくしゃくしゃ紙幣まで
修理代不足の指摘
そこで、この金額では修理は足りない可能性が高いという話を私がしたところ、ポケットに入っているくしゃくしゃになっている現金も全て出し、これで勘弁してほしい、許してほしいと懇願されたのです。
示談に応じた
結果、その段階で、私は示談に応じました。一歩間違えば大変なことになっていたかもしれないこの出来事は、無事に何事もなく解決に至ったのですが、今思うとよく20歳の時にこういった行動を取れたなぁと思います。
「怖いもの知らず」の貴重さ
若かったからできたこと
怖いもの知らずというのでしょうか、若かったからなのでしょうか、今思うと貴重な貴重な経験談だなと本当に感じます。今同じ状況に遭遇したら、私はおそらく追跡しないでしょう。リスクを冷静に計算できる大人になってしまったからです。
でも、その判断力こそが武器になる
20歳の若い無謀さは、一面では危険でもあります。しかし「動かないと何も変わらない」という直感的な判断は、若さの特権です。慎重さと無謀さのバランス── これを子どもたちにも、年齢に応じて学んでもらいたいと思っています。

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