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中学校の英語の「話すこと」の目標には、「即興で伝え合う」「即興で話す」という言葉が入っている。文部科学省の解説は、「即興で伝え合う」を、原稿を事前に用意して覚えたり練習したりする準備時間を取らずに、不適切な間を置かずに相手と事実や意見、気持ちなどを伝え合うこと、と説明している。小学校では「伝えようとする内容を整理した上で」話すのに対し、中学校では「即興で」話せるようになることが求められる。
出典:文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」本文PDF/文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編」/文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語活動・外国語編」/日本英語検定協会「各級の審査基準」
学習指導要領の目標の文
中学校学習指導要領の英語は、「話すこと」を[やり取り]と[発表]の2つの領域に分け、それぞれの最初の目標に「即興」という言葉を置いている。
| 領域 | 目標ア(学習指導要領) |
|---|---|
| 話すこと[やり取り] | 関心のある事柄について,簡単な語句や文を用いて即興で伝え合うことができるようにする。 |
| 話すこと[発表] | 関心のある事柄について,簡単な語句や文を用いて即興で話すことができるようにする。 |
解説は、「話すこと[やり取り]」は「今回の改訂で新たに設定された領域である」と書いている。日常の会話から討論に至るまで、話し手と聞き手の役割を交互に繰り返す双方向のコミュニケーションの機会が多いことを踏まえ、「発表」とは別に「やり取り」を加えた、という説明である。
「即興で伝え合う」とは(解説の定義)
解説は、「即興で伝え合う」を次のように説明している。
「話すための原稿を事前に用意してその内容を覚えたり,話せるように練習したりするなどの準備時間を取ることなく,不適切な間を置かずに相手と事実や意見,気持ちなどを伝え合うことである。」(中学校学習指導要領解説 外国語編 第2章)
そして、やり取りを行う際は相手の発話に応じることが重要であり、それに関連した質問や意見を述べたりして、互いに協力して対話を継続・発展させなければならない、としている。
なぜ「即興で」が目標の条件になっているのかについて、解説は、実際のコミュニケーションの場面では情報や考えなどを送り手と受け手が即座にやり取りすることが多く、「英文を頭の中で組み立てる時間を長く取れないからである」と書いている。
「関心のある事柄」と「簡単な語句や文」
目標の文にある「関心のある事柄」について、解説は、スポーツ、音楽、映画、テレビ番組、学校行事、休日の計画、日常の出来事など、身の回りのことで生徒が共通して関心をもっていることを扱う、としている。
「簡単な語句や文を用いて」については、小学校での学習やこれまでの経験の中で触れてきた語彙や表現を含め、中学校で扱う語句や文を用いること、と説明している。
つまり、即興で話す話題は、生徒にとって身近で、話したいことがある話題である。難しい語を使うことではなく、知っている語句と文でその場で話すことが求められている。
小学校の「その場で」から、中学校の「即興で」へ
解説は、小学校とのつながりにも触れている。小学校の外国語科の「話すこと[やり取り]」の目標には、「その場で質問をしたり質問に答えたりして,伝え合うことができるようにする」という内容がある。小学校の解説はこの「その場で」について、それまでの学習や経験で蓄積した英語での話す力・聞く力を駆使して、自分の力で質問したり答えたりできるようになることを指している、としたうえで、「ここでのやり取りが,中学校の外国語科での簡単な語句や文を用いて即興で話すことへとつながっていく」と書いている。
「話すこと[発表]」についても、中学校の解説は、小学校では「伝えようとする内容を整理した上で」話すのに対し、中学校では「即興で」話せるようになることが求められる、としている。そのため、「事前に原稿を書いてそれを暗唱したりするのではなく,興味・関心のある事柄であれば,既習の知識や技能を生かしてその場で話せるようにする必要がある」と書かれている。
会話を続けるための4つのこと
解説は、[やり取り]の言語活動の説明の中で、会話を継続・発展させるために必要なこととして、次の4つを挙げている。
| 必要なこと | 解説の例 |
|---|---|
| ①相手に聞き返したり確かめたりする | Pardon? / You mean…, right? など |
| ②相づちを打ったり、つなぎ言葉を用いたりする | I see. / Really? / That’s nice. など |
| ③相手の答えを受けて、自分のことを伝える | I like baseball, too. など |
| ④相手の答えや自分のことに「関連する質問」を付け加える | 関連する質問を続ける |
また解説は、あらかじめ原稿を準備してから話すのではなく「その場で」考えて、お互いに質問したり意見を交換したりして会話を継続・発展させる活動を示している、としている。そのために、身近な話題を選ぶ、スピーチ活動などで扱ったテーマを取り上げる、伝え合う活動を継続的に行う、などで、生徒が自分の言いたいことを即興で表現できる範囲を徐々に広げていくことが大切だ、と書いている。
誤りやたどたどしさは当然、という考え方
解説は、即興で話す力について、「一度の授業や言語活動で身に付くものではない」と書き、1年生から即興で話す活動に継続的に取り組ませることで力を高めていく必要がある、としている。
さらに、「メモやキーワードを頼りにしながらであっても即興で発表すれば,多少の誤りやたどたどしさがあるのは当然であるという認識の下に,生徒が主体的に英語でコミュニケーションを図ろうとする態度を養う必要がある」と書いている。
解説は改訂の背景として、授業では「やり取り」・「即興性」を意識した言語活動が十分ではないことなどの課題があった、とも書いている。
英検の各級の審査基準でも、「話す」はすべての級で「やりとりすることができる」と書かれている。
家でできること(当社の考え方)
ここからは当社の考え方になる。解説の説明を踏まえると、家庭では次のようなことができると考えている。
- 原稿を覚える練習だけで終わらせない。決まった話題(好きなスポーツ・休日の予定など)について、家の人が英語で1つ質問し、その場で短く答える時間をつくる。
- 答えたら、もう一言つけ足す(③)か、相手に質問を返す(④)。解説の4つのうち1つずつ増やしていく。
- 聞き取れなかったときは、黙らずに Pardon? と聞き返す(①)。聞き返すことも会話を続ける力の1つである。
- 間違いを途中で直さない。解説が書くとおり、誤りやたどたどしさがあるのは当然と考え、話し終えてから1つだけ確かめる。
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