だれでも意味・例文無料会員音声・アプリ・プリント使える範囲 →
中学校の英語では、文法や単語のほかに「言語の使用場面」と「言語の働き」を取り上げて授業をすることが、学習指導要領で決められている。使用場面は「家庭での生活」「買物」「電話での対応」のような英語を使う場面、働きは「礼を言う」「断る」「依頼する」のような英語でする行為のことである。文部科学省の解説は、働きを5つに整理し、中学校では「苦情を言う」「約束する」「反対する」「仮定する」などが小学校より加わるとしている。
出典:文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」本文PDF/文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編」/文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語活動・外国語編」/日本英語検定協会「5級の試験内容」
学習指導要領は何と書いているか
中学校学習指導要領の外国語科(英語)は、「言語活動及び言語の働きに関する事項」の中で、次のように定めている。
「言語活動を行うに当たり,主として次に示すような言語の使用場面や言語の働きを取り上げるようにする。」(中学校学習指導要領 第2章第9節 外国語 第2 英語 2(3)②)
そのあとに「ア 言語の使用場面の例」と「イ 言語の働きの例」が並んでいる。どちらも「例」であり、ここに挙がっていない場面や働きを扱ってはいけない、という意味ではない。解説は、言語活動を行う際は単に繰り返し活動を行うのではなく、生徒が言語活動の目的や言語の使用場面を意識して行うことができるよう、具体的な課題等を設定することが必要だ、と書いている。
言語の使用場面の例
学習指導要領が挙げる使用場面は、2つのまとまりに分かれている。
| まとまり | 場面の例(学習指導要領) |
|---|---|
| 生徒の身近な暮らしに関わる場面 | 家庭での生活/学校での学習や活動/地域の行事 など |
| 特有の表現がよく使われる場面 | 自己紹介/買物/食事/道案内/旅行/電話での対応/手紙や電子メールのやり取り など |
解説は、「生徒の身近な暮らしに関わる場面」を先に、「特有の表現がよく使われる場面」を後に示している理由を、使用場面としては前者が主であり、様々な場面が想定されるから、と説明している。
また解説は、上の場面のうち「旅行」「電話での対応」「手紙や電子メールのやり取り」は小学校では取り扱っていない、と書いている。同じ場面でも、使う表現は変わる。たとえば「道案内」について、小学校で指導している表現は “Where is ~?” であるのに対し、中学校では “Do you know where ~ is?” という道の尋ね方を示している、と解説は例を挙げている。
言語の働きの例(5つのまとまり)
言語の働きについて解説は、小学校と高等学校における分類との対応関係を分かりやすくするために統一を図り、「コミュニケーションを円滑にする」「気持ちを伝える」「情報を伝える」「考えや意図を伝える」「相手の行動を促す」の5つに整理した、としている。学習指導要領の本文に挙がっている例は次のとおりである。
| 働き | 例(中学校学習指導要領) |
|---|---|
| コミュニケーションを円滑にする | 話し掛ける/相づちを打つ/聞き直す/繰り返す など |
| 気持ちを伝える | 礼を言う/苦情を言う/褒める/謝る/歓迎する など |
| 事実・情報を伝える | 説明する/報告する/発表する/描写する など |
| 考えや意図を伝える | 申し出る/約束する/意見を言う/賛成する/反対する/承諾する/断る/仮定する など |
| 相手の行動を促す | 質問する/依頼する/招待する/命令する など |
小学校から加わる働き
解説は、中学校で小学校より加わる働きを、まとまりごとに書いている。
- 気持ちを伝える:小学校の外国語科で扱われているものに加え、「苦情を言う」「歓迎する」が例として挙げられている。解説は、相手との信頼関係を築いたり、良好な関係でコミュニケーションを行ったりするためには、誤解などが生じないよう、相手意識をもちながら適切な表現を選ぶことが重要だ、としている。
- 考えや意図を伝える:小学校の外国語科で扱われているものに加え、「約束する」「反対する」「仮定する」が例として挙げられている。
小学校学習指導要領の言語の働きの例と並べると、たとえば「相手の行動を促す」は、小学校が「質問する」「依頼する」「命令する」、中学校はそれに「招待する」が加わっている。
特に「仮定する」について解説は、「今回の改訂で新たに追加した内容である」と書いている。直説法で条件を示す「仮定する」働きの指導はこれまでもしているが、「現実ではない状況を想像して『仮定する』働きとして表現する指導は追加事項である」としている。中学校の文法事項に「仮定法のうち基本的なもの」が入ったことと、対になっている。
同じ働きでも、場面で表現が変わる
解説は、「考えや意図を伝える」働きについて、中学校ではコミュニケーションの場面を意識し、同じ働きであっても場面に応じて異なる表現を用いるのが適切であることに気付かせる、としている。あわせて、相手意識をもったやり取りを通して、相手の感情や気持ちに配慮した表現があることなどにも気付かせ、お互いが理解し合える気持ちのよいやり取りができるよう指導する、と書いている。
また解説は、第1学年で言語活動を行う際には、小学校でも慣れ親しんだことのあるような身近な使用場面や働きを取り上げることで、中学校の外国語学習の円滑な導入を図ることが重要だ、としている。
つまり、中学校の英語は「文法を覚えてから使う」だけではなく、「この場面で、この働きをするには、どの表現を選ぶか」を考える授業として組み立てられている。
英検の問題とのつながり
英検の試験内容のページにも、級ごとに「主な場面・題材」が示されている。たとえば英検5級の試験内容では、主な場面として「家庭、学校、地域(各種店舗・公共施設を含む)、電話など」が、話題として「買い物」「道案内」「自己紹介」などが示されている。学習指導要領の使用場面の例と重なる部分が多い。英検5級には、会話の空所に適切な文や語句を補う問題や、会話の最後の発話に対する応答を選ぶ問題がある。
家でできること(当社の考え方)
ここからは当社の考え方になる。使用場面と働きの考え方を踏まえると、家庭では次のようなことが役に立つと考えている。
- 教科書の会話文を読んだら、「どの場面で」「何をしている(働き)」かを一言で言ってみる。たとえば「電話で・依頼している」。
- 同じ働きを、別の場面で言い換えてみる。友達に頼むときと、店の人に頼むときで、表現がどう変わるかを比べる。
- 英検の会話文の問題を解いたあと、正解の文がどの働き(断る・礼を言う・提案する など)なのかを確かめる。
- 「苦情を言う」「反対する」のように、日本語でも言いにくい働きこそ、決まった言い方を1つ覚えておく。
士心塾では
士心塾オンライン校では、英検5級から準1級までの単語・例文(10,160語)を、音声つきの教材として公開している。例文を場面と働きで読み直し、声に出して使えるようにしている。英検の単語と例文の教材はこちら。
関連:中学校で学ぶ英語の「音声」/中学校の英語と英検|学習指導要領の目標・文法と、英検3級・準2級の問題の対応/中学校と高校の英語で、学習指導要領は何を求めているか
