十八
故 事 成 語 ・ 十 八
目を描き入れたとたん、竜は壁から飛び去った。
いまのことば
物事を仕上げる、いちばん大事な最後の一手。
それが欠けていることを「画竜点睛を欠く」と言います。
ことばの景色
梁の時代の画家・張僧繇が、寺の壁に四頭の竜を描きました。ただし、瞳だけは描きません。「入れれば飛んで行ってしまう」と言うのです。人びとが信じないので二頭に瞳を入れたところ、雷が壁を破り、その二頭は天にのぼり、瞳のない二頭は壁に残ったと伝えられます。
「睛」は瞳のこと。「晴れ」の字とも、「精」の字とも違います。目へんであることを覚えておくと、書き間違えません。
この話は、九十九まで整っていても、最後の一つで生きるか死ぬかが決まることを言っています。竜が出てくる故事は多く、逆鱗に触れるや登竜門もその仲間です。
考えてみよう
- 問一あなたの作品や作業で、「最後の一手」に当たるものは何ですか。
- 問二絵の中で、目はなぜそんなに大事なのでしょう。
- 問三「睛」と「晴」を見分ける覚え方を考えてみましょう。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——
日本のだるまに
目を
入れる
習わしも、
最後に目を入れて仕上げるという
点で
通い
合います。
こころの間もあわせてどうぞ。