十五
故 事 成 語 ・ 十 五
竜はなつく。ただし、触ってはいけない一枚がある。
『韓非子』より
いまのことば
目上の人を、激しく怒らせること。
ことばの景色
『韓非子』の説難という篇に、こうあります。竜はならすことができて、乗ることさえできる。けれど喉の下に一尺ほどの逆さに生えた鱗があり、これに触れた者は必ず殺される——と。
この篇の題は「説難」、つまり「人を説くことの難しさ」です。竜のたとえは、話の締めくくりに置かれています。「君主にもまた逆鱗がある。それに触れなければ、うまくいく」。
つまりこれは怖い話ではなく、助言をする側の心得として書かれました。相手のどこに触れてはいけないかを見きわめてから話す——韓非は戦国時代の思想家で、法によって国を治めることを説いた人です。
考えてみよう
- 問一人に大事なことを伝えるとき、どんな順番で話しますか。
- 問二自分の「触れられたくないところ」は何でしょう。
- 問三竜という生き物が、なぜたとえに選ばれたと思いますか。
答えはひとつではありません。声に出して、外に出て、確かめながらどうぞ。
豆知識——
竜は
登竜門にも
画竜点睛にも
出てきます。
中国の故事で竜は、恐ろしさと立身の両方を背負う存在でした。