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小学校と中学校の英語の授業では、学習活動で困難さがある子どもに、その困難さに応じた指導の工夫をすることが学習指導要領で定められている。文部科学省の解説は、英語の授業で考えられる配慮の具体例として、リズムを手拍子で示す、文字の字体をそろえる、その場で発音することを求めない、などを挙げている。そして、学校は個別の指導計画に必要な配慮を書き、翌年度の担任に引き継ぐことが必要だとしている。
出典:文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」本文PDF/文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編」/文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語活動・外国語編」/文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」本文PDF
学習指導要領の決まり
中学校学習指導要領の外国語科(英語)は、「指導計画の作成と内容の取扱い」の中で、次のように定めている。
「障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。」(中学校学習指導要領 第2章第9節 外国語 第2 英語 3(1)カ)
小学校の外国語活動・外国語科にも、同じ趣旨の決まりがある(小学校は「児童」)。高校の外国語科にも、「障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと」と書かれている。英語の授業での配慮は、小学校から高校まで同じ決まりの上にある。
なぜこの決まりがあるのか(解説の説明)
中学校の解説は、この決まりの背景として、通常の学級においても「発達障害を含む障害のある生徒が在籍している可能性があることを前提に」、全ての教科等において、一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細かな指導や支援ができるようにすることが重要だ、と書いている。
そして、学習活動を行う場合に生じる困難さは生徒によって異なるとして、次のような例を挙げている。
| まとまり | 解説が挙げる困難さの例 |
|---|---|
| 感覚・身体 | 見えにくさ/聞こえにくさ/道具の操作の困難さ/移動上の制約/健康面や安全面での制約/発音のしにくさ |
| 心理・関係 | 心理的な不安定/人間関係形成の困難さ |
| 学習 | 読み書きや計算等の困難さ/注意の集中を持続することが苦手であること |
解説は、個々の生徒の困難さに応じた指導内容や指導方法を工夫することを、各教科等において示している、としている。
小学校の解説が挙げる配慮の例
小学校の解説は、外国語活動(3・4年)と外国語科(5・6年)のそれぞれで、配慮の例を挙げている。
音声を聞き取ることが難しい場合(外国語活動・外国語科の両方):外国語と日本語の音声やリズムの違いに気付くことができるよう、リズムやイントネーションを、教員が手拍子を打つ、音の強弱を手を上下に動かして表すなどの配慮をする。また、本時の流れが分かるように、本時の活動の流れを黒板に記載しておくなどの配慮をする。
文字情報から手掛かりをつかむことが難しい場合(外国語科):1単語当たりの文字数が多い単語や、文などの文字情報になると、読む手掛かりをつかんだり、細部に注意を向けたりするのが難しい児童の場合、語のまとまりや文の構成を見て捉えやすくするよう、外国語の文字を提示する際に字体をそろえたり、線上に文字を書いたり、語彙・表現などを記したカードなどを黒板に貼る際には、貼る位置や順番などに配慮する。
中学校の解説が挙げる配慮の例
中学校の解説は、外国語科における配慮の例として、発音と綴りの関係を取り上げている。
解説は、英語の語には「発音と綴りの関係に必ずしも規則性があるとは限らないものが多く」、明確な規則にこだわって強い不安や抵抗感を抱いてしまう生徒の場合について、次のような配慮を挙げている。
- 語を書いたり発音したりすることをねらう活動では、その場で発音することを求めず、ねらいに沿って安心して取り組めるようにする
- 似た規則の語を選んで扱うことで、安心して発音できるようにする
あわせて解説は、外国語科の目標や内容の趣旨、学習活動のねらいを踏まえ、「学習内容の変更や学習活動の代替を安易に行うことがないように留意するとともに,生徒の学習負担や心理面にも配慮する必要がある」としている。
個別の指導計画と引き継ぎ
小学校・中学校の解説はどちらも、こうした点を踏まえて、学校が個別の指導計画を作成し、必要な配慮を記載することが必要だとしている。中学校の解説は、さらに「他教科等の担任と共有したり,翌年度の担任等に引き継いだりすることが必要である」と書いている。小学校の解説も、「翌年度の担任等に引き継ぐことなどが必要である」としている。
英語の授業で配慮を受けているなら、その内容は個別の指導計画に書かれ、学年が上がっても引き継がれることになっている。どのような配慮が書かれているかは、通っている学校にご確認ください。
英検を受けるとき
学校の授業の配慮とは別に、英検にも障がい等のある人への受験上の配慮の申請がある。また、パソコンで受ける英検S-CBTでの受験が難しい人のための英検S-Interviewという受け方もある。英検での配慮は学校の配慮とは別に、日本英語検定協会への申請が必要になる。詳しくは関連の記事をご覧ください。
家庭で考えておくとよいこと(当社の考え方)
ここからは当社の考え方になる。解説の書き方を踏まえると、家庭では次のことを整理しておくとよいと考えている。
- お子さんが英語の授業で何に困っているかを、具体的に書き出す。「聞き取り」「文字を読む」「その場で発音する」など、解説の例と同じくらい具体的に書くと、学校と話しやすい。
- 家で効いた工夫(手拍子でリズムをとる、文字を大きく同じ字体で書く、など)があれば、それも伝える。
- 解説は、学習内容の変更や学習活動の代替を安易に行わないよう留意する、としている。学校とは、ねらいは変えずに取り組み方を工夫する相談をする。
- 学年が変わるときは、配慮が引き継がれているかを確かめる。
士心塾では
士心塾オンライン校では、英検5級から準1級までの単語・例文(10,160語)を、音声つきの教材として公開している。音声は何度でも聞き直せるので、その場で発音することに不安がある場合も、自分のペースで聞いてから声に出せるようにしている。英検の単語と例文の教材はこちら。
関連:英検「受験上の配慮」の申請―できること・締切・必要な書類/英検S-Interviewとは/小学校の「外国語活動」と「外国語科」は何が違うか
