六
養 生 訓 ・ 六
春は、冬にたくわえた力を伸びやかに使い始める季節。夏は、汗と冷たいものとのつきあい方が決め手になります。
いまのことば
春は早起きしてのびやかに動き、気持ちをふさがない。
夏は大汗と冷やしすぎに気をつけ、胃腸を守る——養生訓の春夏。
伸びる季節の注意書き
春は「発生」の季節。冬の章(第五編)でたくわえた力を、少しずつ外へ。朝は早く起き、ゆったり歩き、気持ちを抑えつけないことが春の養生とされます。新学期の緊張で心が固くなりがちな季節に、「のびやかに」という処方箋です。
夏の注意は二つ。大汗をかきすぎないこと(汗は体の力を消耗させる、が益軒の観察)。そして冷たいものの摂りすぎで胃腸を冷やさないこと。氷もエアコンもない時代から、「夏の腹こわし」は養生の大敵でした。
冬(第五編)とあわせて、四季の養生がそろいました。季節ごとに体の使い方を変える——七十二候(生物の間)が外の自然の暦なら、養生訓は体の中の暦です。
考えてみよう
- 問一新学期の自分の心と体は「のびやか」ですか、「固く」なっていますか。
- 問二夏の冷たいものルールを、自分で一つ決めるとしたら?
- 問三四季それぞれの「自分の養生一か条」を並べて、一年の体の暦を作ってみましょう。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——「土用」は季節の変わり目の期間で、夏の土用の丑の日にうなぎを食べる習わしは、弱った胃腸に栄養を、という理屈で広まりました(
平賀源内の逸話は
科学の間・第一章で)。間と間が、ここでもつながっています。