二
養 生 訓 ・ 二
「もう少し食べたいな」で箸を置く。養生訓の食の教えは、この一点に集約されます。
いまのことば
食事は満腹まで食べず、八分ほどでやめる。
よく噛み、旬のものを、感謝して——養生訓の食卓の作法。
八分目の科学
「珍しくおいしいものに出会っても、八九分でやめておきなさい」——益軒の食の教えの核心が、いわゆる腹八分です。満腹まで食べると胃腸が疲れ、眠くなり、体が重くなる。童子教の「食過ぐれば学文に倦む」と同じ観察です。
満腹感は、食べ始めてから脳に届くまで時間差があります。「もう少し」で止めてしばらくすると、ちょうどよく満ちてくる——現代の生理学が、益軒の経験則を説明します。
よく噛むこともくり返し説かれます。噛むほど消化が楽になり、満腹感も早く来る。一口30回、まず一食だけ試してみてください。
考えてみよう
- 問一満腹まで食べた日と八分でやめた日、午後の体の軽さを比べてみましょう。
- 問二「もう少し食べたい」で止める工夫(茶碗の大きさ、おかわりのルール……)を考えましょう。
- 問三一口30回噛むと、味はどう変わりますか。白ごはんで実験を。
答えはひとつではありません。体を動かしてから考えると、また違って見えてきます。
豆知識——「腹八分に医者いらず」ということわざは、養生訓の教えが庶民に広まったものといわれます。近年の研究でも、食べすぎないことと健康長寿の関係は繰り返し報告されています。