十五編
学 問 の す ゝ め ・ 十五編 事物を疑いて取捨を断ずること
信の世界に偽詐多く、疑いの世界に真理多し。—— 福澤諭吉『学問のすゝめ』十五編より
いまのことば
信じてばかりの世界には、だまされる人が増える。
よく疑って選び取る世界にこそ、本当のことが増える。
きょうの暮らしでいうと
『学問のすゝめ』の中で、いまの時代にいちばん効く一編かもしれません。うのみにするな、まず疑え、と言い切ります。
ただし福澤の「疑う」は、なんでも否定することではありません。疑って、確かめて、良いものは取り、悪いものは捨てる——「取捨を断ずる」ところまでが一セットです。疑うだけで何も選べない人は、信じるだけの人と同じくらい弱い。
ニュース、動画、AIの答え。流れてくる情報の量は福澤の時代の何万倍にもなりました。「これは本当か」「元の出どころは何か」と一度立ち止まる習慣——この編は、情報の時代の必修科目です。
考えてみよう
- 問一最近「信じかけて、確かめたら違った」ものはありましたか。
- 問二「疑う」と「決めつける」は、どこが違うのでしょう。
- 問三情報の出どころを確かめる自分なりの方法を、ひとつ持っていますか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——この編で福澤は、西洋のものなら何でもありがたがる風潮も同じように疑えと書いています。古いものを妄信するのも、新しいものを妄信するのも、同じ「信じすぎ」——疑いは公平にかけるものでした。