十二編
学 問 の す ゝ め ・ 十二編 演説の法を勧むるの説
演説とは英語にてスピイチと言い、大勢の人を会して説を述べ……—— 福澤諭吉『学問のすゝめ』十二編より
いまのことば
思っているだけでは、伝わらない。
人前で話す力は、学問の大事な仕上げである。
きょうの暮らしでいうと
「演説」という日本語は、福澤たちが作った言葉です。それまでの日本に、大勢の前で自分の意見を述べる文化そのものがほぼありませんでした。
どんなに深く学んでも、伝えられなければ世の中を動かせない。観察し、推理し、本を読み、議論し、そして演説する——福澤は学問の方法をこう並べて、話す力をその仕上げに置きました。
授業の発表、意見文、面接。人前で話すのが得意な人は多くありません。でも、これは生まれつきではなく「法」——つまり練習で身につく技術だと、この編の題は言っています。
考えてみよう
- 問一人前で話すとき、いちばんの壁は何ですか。
- 問二同じ内容でも「伝わる話し方」と「伝わらない話し方」の違いはどこにあるでしょう。
- 問三今週、自分の考えを声に出して伝える機会をひとつ作るとしたら?
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——福澤は三田演説館という日本初の演説専用ホールを慶應義塾に建てました(1875年・現存)。「スピーチ」を訳すところから始めて、建物まで作ってしまう——思想を形にする人でした。