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学問のすゝめ・八編 わが心をもって他人の身を制すべからず

人の一身は他人と相離れて一人前の全体をなし……—— 福澤諭吉ふくざわゆきち『学問のすゝめ』八編より

お子さんと保護者の方へ。いっしょに読んで、確かめましょう。

いまのことば

学問のすゝめ 八編の内容は?

自分の考えで、他人の生き方を縛ってはいけない。
それがたとえ、家族であっても。

きょうの暮らしでいうと

「あなたのためを思って」——この言葉のこわさを、福澤は150年前に見抜いていました。この編が例に挙げるのは、遠い国の話ではなく、親子や夫婦という、いちばん近い間柄です。

親が子の進路をすべて決める。夫が妻の行動を縛る。当時はあたりまえだったことに、福澤は「それは相手を一人の人間として見ていない」と切り込みます。愛情と支配は、似た顔をしてやってくるのです。

友だち関係でも起きます。「親友なんだから同じでいようよ」が、いつのまにか相手を縛る鎖になる。相手を大切にすることと、相手を自分の思いどおりにすることの違い——八編の問いは、教室にもあります。

考えてみよう

  • 問一「あなたのため」と言われて、うれしかったときと苦しかったとき。何が違ったのでしょう。
  • 問二大切に思う相手の選択が、自分の考えと違ったとき、どうしますか。
  • 問三逆に、自分が誰かを「よかれと思って」縛っていないでしょうか。

答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。

豆知識——この編は、アメリカの学者ウェーランドの『モラル・サイヤンス(修身論)』を下敷きにしています。福澤は慶應義塾の講義でもこの本を使い、西洋の倫理学を日本に紹介しました。
原文について
この記事が扱っている『学問のすゝめ』は、福沢諭吉が1872年(明治5年)から刊行した書。初編から十七編まであります。
全文は青空文庫『学問のすすめ』で読めます(底本が明記されています)。
このページの現代語訳・解説・設問は、株式会社士心が作成したものです。特定の校訂本にもとづくものではありません。 表記や区切り方は、読みやすさのために整えています。原文にあたるときは、上の所蔵先でお確かめください。

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