六編
学 問 の す ゝ め ・ 六編 国法の貴きを論ず
政府は国民の名代にて、国民の思うところに従い事をなすものなり。—— 福澤諭吉『学問のすゝめ』六編より
いまのことば
法律は、みんなで決めた約束ごと。
気に入らなくても勝手に破らず、正しい手続きで変えていく。
きょうの暮らしでいうと
政府は国民の「名代(みょうだい)」——つまり代理人だと福澤は言います。国民が主で、政府が代理。明治のはじめにこれを言い切ったのは驚きです。
そのうえで、法律は守れと説きます。おかしな法律もある。でも、一人ひとりが勝手な判断で破りはじめたら、約束ごとの仕組みそのものが壊れる。変えたければ、暴力ではなく、言論と手続きで変える。
学級のルールでも同じです。納得できないルールがあるとき、黙って破るのか、話し合いの場に持ち出すのか。六編は、その分かれ道の話です。
考えてみよう
- 問一身のまわりの「納得できないルール」を、正しい手続きで変えるには、どうすればよいでしょう。
- 問二ルールを破る人が増えると、いちばん困るのはだれでしょう。
- 問三「守りながら変える」を実際にやった人・出来事を知っていますか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——この編で福澤は「ひそかに人を殺すの罪」として仇討ちを厳しく批判しました。忠臣蔵が大人気だった時代に、あえて赤穂浪士を「法を破った者」として論じた勇気ある一編でもあります。