四編
学 問 の す ゝ め ・ 四編 学者の職分を論ず
今後日本の盛衰は人智をもって明らかに計り難しといえども……—— 福澤諭吉『学問のすゝめ』四編より
いまのことば
学んだ者には、学んだ者の果たすべき仕事がある。
政府に任せきりにせず、民間から国を動かせ。
きょうの暮らしでいうと
この編から文章が少しむずかしくなります。福澤自身があとで「四編と五編は学者向けに書いた」と説明しているほどです。
主張は明快です。当時の日本では、優秀な人はみな役人になりたがりました。福澤はそれを疑います。全員が政府側に立ったら、民間には誰が残るのか。政府だけが強くて民間が弱い国は、本当の文明国になれない——だから自分は民間に立つ、と宣言します。
実際、福澤は生涯官職につかず、塾と新聞で生きました。「学んだ力をどこで使うか」という問いは、進路を考えるすべての人に、いまも突きつけられています。
考えてみよう
- 問一「偉い人になる」と「世の中の役に立つ」は、同じでしょうか、違うでしょうか。
- 問二民間(ふつうの人々)の力が世の中を変えた例を、知っていますか。
- 問三あなたが将来、学んだ力を使いたい場所はどこですか。
答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。
豆知識——この編は明治7年、明六社という学者の集まりでの議論がもとになっています。学者たちが雑誌で公開の議論を戦わせる——それ自体が、日本では新しいことでした。