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江 戸 の 生 き も の 学 ・ 九

熊、穴にこもる。雪の下、麦のびる。ふきのはな、さく——冬の候の名前は、止まって見える季節の中の、小さな動きを見つけています。

いまのことば

冬の七十二候しちじゅうにこうは、冬ごもりと、雪の下の準備の記録。
止まって見える冬にも、生きものの時計は動いている。

冬のみつけかた

冬の候には、こんな名前が並びます。熊蟄穴(くまあなにこもる)——熊が冬ごもりに入るころ。雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)——雪の下で麦が芽を伸ばすころ。款冬華(ふきのはなさく)——凍った地面にふきのとうが顔を出すころ。

どれも「一時停止」ではなく「水面下の準備」を見ています。雪の下の麦は、雪の布団に守られて着実に育つ。冬芽(生物の間・第七候補の観察テーマ)は、春の葉と花をすでに用意しています。

寒い日の散歩で、冬芽・ふきのとう・霜柱を探してみてください。止まった季節が、準備の季節に見えてきたら——あなたの目は、七十二候しちじゅうにこうの目です。

考えてみよう

答えはひとつではありません。おうちの人と話しながら考えるのも、よい学び方です。

豆知識——雪は断熱材です。外気が氷点下でも、積もった雪の下は0度前後に保たれ、麦や虫たちを守ります。「雪下出麦」の四文字には、雪国の科学がまるごと入っています。
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